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虚構の世界に介入して登場人物を全員幸せにするまでの物語、パーフェクト・バージョン!  作者: 秋乃晃
14回目の偽アカシックレコードの世界=修正された虚構の世界編
82/100

Chapter1

 灼熱の太陽。

 本日も真夏日也。

 こんな日はクーラーの効いた部屋でダラダラするのがセオリーというものではありませんコト?


(アツゥイ……)


 秋月千夏あきづきちなつ、本日の8月26日をもって23歳!

 4月からの社会人生活のクセで朝7時に起床。

 誕生日だからってお休みをいただいているのに、二度寝するのはもったいない気がするの。

 今日は金曜日だから土日とつなげて三連休って寸法なの。


 とはいえ、みんなで集まって誕生日会するワケでもなし。

 というか、ど平日だから誘えるような友達はみんな仕事だし。

 ダラダラするだけならむしろ出勤したほうがよかったの?


 うーん。

 わたしってば知的な美少女だし、土日だと混んでいそうな知的な施設に行くのもありよりのあり。

 美術館とか動物園とか水族館とかいいなぁ。










「なんだ、これ?」


 ついつい声に出してしまう。

 とりあえず顔を洗いましょうそうしましょうと洗面台に向かったら、記憶にない本が置いてあるの。

 もしかして昨日の帰りに酔った勢いで買っちゃったの?


 題名は……英語かなコレ……?

 洋書なんてオシャレじゃない?


 えー、けー、うーんと。

 アカシック。

 あーる……レコード?

 あなた『アカシックレコード』って言うのね!


「でも本文は日本語なの……?」


 ページをぱらぱらとめくってみる。

 なんだか面白そうじゃないの。

 ぜんぜん買った時の記憶ないケド、わたしってば泥酔状態でもセンス抜群なの。

 あとで暇つぶしに読もっかな。


「どうせ暇だし」


 つぶやいたら寂しくなってきた。

 やめようやめよう。


 4月に『社会人になったから実家暮らしおしまい!』だなんて意気揚々と実家を脱出しひとり暮らしし始めたはいいものの、自分がやらねば誰もやってくれない家事がどんどん溜まっていく。

 本なんか読んでいる場合じゃない。

 ってことはわかっているつもり。


 洗濯しないといけないけど、やる気が出ないの。

 うんうん。

 暑さのせいってコトでよろしく。


「うわっ! ゴミだらけ!」

「ハッ! そうだ! ゴミ捨て!」


 ナイスー!

 言うほどゴミ屋敷じゃないしー!

 やる気が出てきたら片付けますしー!

 あ、でも片付けたらゴミが出てくるじゃない?

 イタチごっこだねぇ。


「こんなところよく住めるね? うわ、これまだ中身入ってる」


 昨日は呑んでから帰ってきて?

 帰ってきて……からの記憶がない……。

 そういやシャワー浴びたっけ?

 自分の身体の匂いを嗅ぎ回ってしまう。

 たぶん大丈夫。

 たぶん……。


「カギも開けっぱなしだしね。女の子の一人暮らしなんだから用心してよね」


 黙って聞いてたら正論ばっかり言いやがって。

 正論ダケが正義だと思うなよ!

 玄関から勝手に入ってきて半分ぐらい残ったチューハイの缶を片手に呆れている来客に対してわたしは「誰だよお前!」と言い放つ。


 いやほんと誰。


「ぼくの紹介はあとにして、ゴミ捨て行かないとね?」


 来客の知らない男の子は台所で缶の中身を流して、軽くすすいで逆さまに置いた。

 おっしゃる通り。

 金曜日は燃えるゴミの日。

 わたしは「手伝ってくれるの?」と問いかけながらゴミ袋を押し付ける。


 いやぁ、助かるわぁ。

 1人だと何往復かしないといけないし!


「ぼくはちなっちゃんのお友達だからね。手伝うに決まってる」


 こんな男の子のお友達いたっけ?

 年の差ありそうだけど大丈夫?


 二日酔いなのかわからないケドめっちゃ頭痛いし。

 あとで薬飲んだほうがよさげ。


「おはようございま……誰……?」

「おはようたーちゃん!」


 うちの向かいには交番があって、警官のたーちゃんはこうやって毎朝挨拶したり、たまにはいっしょに仕事したりする仲良しさん。

 わたしは親しみを込めてたーちゃんって呼んでるケド、本名は剛力宝っていう強度高そうなおなまえ。

 機会があればわたしとたーちゃんとの武勇伝を語りたいなぁ。


「あの子誰ですか?」

「めちゃくちゃ助かる」


 たーちゃんはわたしの家から出てきた友達(仮)の男の子に目を奪われている。

 わたしに聞かれても。

 あとで自己紹介してくれるって言ってたし。

 手伝ってくれるのはマジで助かる。


「酔った勢いで連れ帰ってきました?」

「年下は恋愛対象外だし」


 よいしょよいしょとサンタクロースの袋ぐらいに膨らんだゴミ袋を運んでいく知らない男の子。

 健気でよろしい。

 でもわたしは普通に頼れる男の人と付き合いたいし。

 わたしが何かあった時に助けてもらえないと困るし。


「昨日は『明日仕事休みなんだ!』って言っていたわりにずいぶん早起きですけど、どこか出かけるんです?」

「まだ決めてないし、誕生日だから有意義に過ごす予定!」

「誕生日でしたか。おめでとうございます」


 そうじゃなくて。

 お祝いされたのは嬉しいけど違うんだよなぁ。

 違うんだよなぁ!


「なんかないのなんか!」

「なんかって?」


 察しが悪くなーい?

 誕生日ときたらプレゼントじゃない?

 わたしたーちゃんの誕生日知らないケド。


 こういうのはもらったら返す!

 たーちゃんがくれたらわたしもたーちゃんの誕生日にプレゼント渡す!

 これでいこう。

 どっちも得だし。


「ぼくは用意してあるからね。ちなっちゃんへのバースデープレゼント」


 マジ?

 というか、わたしの誕生日知ってるの?


「これから誕生日パーティーするけど、お巡りさんも来るかね?」


 マジ???

 その話いま初めて聞いたケド。

 昨日のわたし、パーティーに誘われてたの?


「勤務中に抜け出すのはちょっと……」

「ちょっとぐらいバレないんじゃない?」

「警察にそんなこと言います?」


 たーちゃんは真面目だなぁ。

 わたしも真面目ちゃんだけど。

 ここまでの自堕落な生活を見せていたせいで勘違いしてるカモだけど、スーパー将来有望株だし。

 作倉さんも太鼓判だし。


「それなら、勤勉なお巡りさんにはまたの機会に挨拶するね」


 謎の男の子はたーちゃんに一礼すると、わたしの家に戻っていく。

 またの機会にって何なの?

 わたしは首を傾げつつ、後ろを追って帰宅する。







【14回目の夏】


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