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虚構の世界に介入して登場人物を全員幸せにするまでの物語、パーフェクト・バージョン!  作者: 秋乃晃
13回目の偽アカシックレコードの世界=虚構の世界編
42/100

「Force」


 地上最速の動物であるチーターより速く走れる。

 というだけならば、別に【相殺】とやらでコピーされてもされたところでって感じだ。

 違うんだよ【疾走】は。

 帽子を上に投げる必要もなければ腕時計のタイマーを使用しなくてもいい。


「タイマーをセットしなければ、ぼく自身が生み出した時の流れに取り残されるのでは」


 わかってないな。

 お前はお前を信じていればいい。

 パーフェクトな自分であり続けることだけを考えろ。

 この世界での自分自身の座標を意識するんだ。


「なるほど?」


 そもそもこの世界での“能力”は『科学では証明できない不思議な力』を指すのだから、エビデンスもへったくれもないが、おれなりに【疾走】の真価を説明してやろう。


 悲しみは【疾走】する。

 涙は追いつけない。


 本来の時間の流れよりも速く動けるだけなら、能力が発動した地点に服が置き去りになるはずだ。

 だから、お前は無意識に【疾走】の効果を付与する対象を選択している。

 要は自分自身の中に自分の持ち物を含めているんだよ。

 その意識を強く持つために煩わしいルーティンを組んでいるようだが、本来は必要ない。


「無条件で発動できる、と?」


 ああ。

 お前はお前が念じさえすれば、10年後のこの地点に1秒で吹っ飛ぶことすら可能だ。

 それはお前自身だけじゃない。

 例えば鉢植えに種を蒔いたとしよう。

 その鉢植えを十分な陽の当たる場所に置いて【疾走】をかければ、瞬きの速さで成長して花が咲く。


「デンジャラスだ」


 まあ、ここまで強力だからこそリミッターがかけられたんだろう。

 使えば使うほど自分の時間と世界の時間がずれていくからな。

 自分の体感では1秒しか経過していなくても世界は1週間経過している、なんてことも起こりうる……。

 だからお前は今おれに説明されるまでいちいち帽子を放り投げては腕時計をいじっていたわけだ。

 誰のせいだろうなあ?


「きみは元の世界でこの能力を使いこなしていたのか?」


 銀行の金庫が開いたタイミングで発動して中の金を奪い取ったり。

 可愛い女の子を捕まえてきて本人の気づかないうちに犯したり。


「犯罪に使わないでいただきたい」


 冗談だよ冗談。

 本気で殴ってくるやつがあるか。

 当たりどころ悪かったら自分殺しだぞ!


 ……正直、使いこなせていたかはわからないな。

 反射的に使えたのであれば殺される寸前で弾を止めていただろうし。

 死ななくても済んだかもしれない。


「死んでいなければぼくはきみに出会えなかっただろう?」


 なんじゃそりゃ。

 おれが死んでよかったとでも言いたいのか?


「そういう解釈をしてくるのか……言葉選びがディフィカルトだ……」


 そうだ!

 こうして休暇をいただいたことだしリフレッシュしにいこう。

 オーサカへの引っ越しの準備なんて1日あれば終わる。


「9月1日までに作倉さんを説得してオーサカ行きを無しにするのでは?」


 無しにできたらしたいところだよ。

 誰のせいだ。

 お前が日頃から作倉さんとの親密度を上げてこなかったせいで、おれがどれだけ未来を言い当てても信じてもらえていない。

 むしろ警戒度が増している。

 命の恩人に怪訝な顔をされているおれの身にもなってみろ。


「ぼくの責任なのか?」


 あれだな……。

 もし手元に“アカシックレコード”があれば説得力が増すんだろう。

 このままだとお前の“組織”での立場も危うくなってくる。


 本だ。

 本を探そう。

 この世界に存在するわけが――ある。

 クリスさんが創った偽物ではなく、本物の“アカシックレコード”が。


「本物?」


 白菊美華という子が持っている本物の“正しい歴史”の本だ。

 お前を監視している白菊つくもをとっちめて白菊美華を呼び出させよう。

 9月1日までにな。



【Force】



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