プロローグ・父親の了承
『ティラノサウルスが異世界に転生されたようです』が全くもってポイントを稼げてないのでもういいやというふうに新作書いちまった。
さあ今回の主人公・トリスタン君。
ティラノ先生の作家生命はお前にかかってんだぞ!!!
「父さん、俺、宮廷騎士になりたいです」
ヘルバ王国の主要都市バングラの町外れの酒場で、俺はそんな事を父親に切り出した。
街のゴロツキがステージで演奏をしているバンドにヤジを飛ばしたり、腕相撲で賭けが行われている喧騒が渦を巻くこの場所で、俺たちは静かに親子二人で酒を飲んでいた。
俺の名前はトリスタン。
15歳で、龍神帝王序列第19位・『剣龍王』を継いだ、自画自賛になるかもしれないが凄腕の剣士だ。
要望は青髪で赤い目をしており、父と同じく目つきが悪い。身長は165センチくらいの少年だ。
服装は黒いマントを重ねてきたような感じだ。
俺は今、目の前の父・レックスに対して、自分の就職について相談をしていた。
俺は宮廷騎士になりたい。
理由は特にはないが、昔からの夢だったのだ。
夢に理由は必要ないと、誰かが言っていた気もするがまあ置いておこう。
俺は剣士だ。
それも結構上位の。
冒険者にでもなろうかと考えていたが、あの職業は安定した収入も手に入りにくい。
だから、給料の安定していて尚且つ俺の能力を最大限に発揮できるような職業である騎士、あるいは宮廷騎士になろうと思っているのだ。
俺は三人兄弟の末っ子で、唯一の男児だから、この家を継がなければならない。
家を維持するにはそれ相応の収入やコネ、顔の広さが必要で、そういった意味でも俺は宮廷騎士を志望した。
最も、父が後継だのそんな事を考えているのかもわからないのだが。
しかし父は決して自分の子供の将来の職業に口出しをするような人物ではないということは知っている。
いや、長女のスー姉が「パピー、ばいしゅんやどってなあに?」とか言った時には頭を抱えていたっけか。
ちなみにもうスー姉はとっくに就職している。
次女のシュバイザー姉ももうすぐ成人。十八になり就職するというのだから、このままいけば俺だけニートになってしまうのでそれはどうしても避けたい。
置いてけぼりは絶対に嫌なのだ。
父は自分の白い髪をかきむしりながら数秒間考えるような仕草をすると、
「分かった。伝手を辿ってみる」
その言葉に俺はキョトンとした。
あまりにもあっさりすぎて歓喜の震えがやってこないことに自分でも驚いていた。
このやりとりが俺の人生のターニングポイントとなる事を、俺はまだ知らなかった。