Fuel
唾を、飲み込む。
死神だって、唾は出るのだ。
息を、吸って、吐く。
当たり前の動作が、嫌に重く感じる。これは緊張のせいだけではないだろう。
確実に強い。分かる、いや、分かってしまう。
冷や汗が流れる。
「オーイ。何ぼーっとしてんのォ?なあ!」
「私たちを前にして、気絶なさったのでは?」
そう言って笑う。
なんとでも言え。
「やってみないと、わかんねぇだろ?」
「え?なんですか急に。そういう感じですか?
急に冷めてくる感じですか?」
「…るっせえ。」
本気で行くか。でないと、死ぬ。
「ーー火錬〈点火〉。」
足元から発火し、そして、燃え広がる。
「ーーSTAGE1〈IGNITION〉」
「おお、一応そのレベルね?おーん、じゃあ…
こんなのは、どうだぁ?
ーー〈忘憶〉。」
「な、あっ!やめろ!」
地面から黒い乾いた手が伸び、足を掴んでくる。
「燃えろ!」
バァン!!
乾いているためか、よく燃え、被爆してしまう。
「クッ、クソッ…
おいお前、まさか、この独特な能力、見たことある
な。」
「?…会ったことあるか?なあ。」
その死神は、仮面を被ることはなく、ツノの生えた髑髏のような面をしていた。
「知ってる、って言った方が的確かもな。
《冥墓》のグレイムス、だろ?戦ったものは全て、
地へ帰るとされる、有名だよ。」
「そうか。まあいい。俺が訪れる場所は、全て墓場
だ。そういうことで、もうおさらばだな。
ーー〈蝕人地〉。」
地面が青紫色に変わった。それは、まるで口のように裂け目が入り、開いた。
「喰われろ。地の餌となり、消えろ。」
「や、ばっ」
パク
フォレイズが裂け目に埋まり、裂け目は閉じた。
「さて、天界侵略の続きをするかな。なあ?」
「ええ、そうですね。しかし、次の戦闘では私の出番
を作ってくださいね?フフッ」
「どうかな。まあいい、1人邪魔が消えた。」
その時、彼らの背後で、大きな火柱が上がった。
「敵に背後を、向けるなよ。
ーーー燃えるぞ?」
〈忘憶〉:死者を地面から召喚する。
足止め用として有効。
〈蝕人地〉:地面を肉食性に変える。
範囲は任意で半径5Mまで。