悪食少女は悲劇を蝕む
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その少女は困っていた。
自分は幸せではないからだ。
少女は幸せを食べて生きる生物だった。
けれど、少女は幸せではない。
少女の周囲にいる人間は、少女の食べれる幸せを与えなかった。
だから、少女は日に日に飢えていった。
周りにある物は、食べれない不幸ばかり。
口に含んだ不幸は、とても美味しくなかった。
少女は何も口にできないまま、やせ細っていった。
だがある時、少女は気が付いた。
不幸が食べれない体なら、自分の体を変えてしまえばいい。
少女は自分の体の中にある、愛や友情や絆というものを全部引き抜いていった。
そうして全てを取り外した少女は、不幸を食べれるようになって、もう飢える事は無くなっていた。
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