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名前
何も知らずに生きてきた。
見ないフリをしていた。
だからユリウスは教師を志した。
元々頭が良くなかったユリウスは無辜なる子供たちに自らのような人生を歩んで欲しくなかったのだ。
元とはいえ奴隷である以上契りを交わしているはず。
恐らく価値がないと判断され見捨てられた少女を奴隷としての呪縛から断ち切る必要があった。
それはそうとして
「まずはスプーンの持ち方を正す必要がありそうだ。」
ユリウスは考えた。
契りを断つ前にまずは人として普通の接し方をしてあげよう。
少女に普通の生活を 人生を歩ませなくてはならない。
その為にも名前が必要だろう。
「君をアイリスと名付けよう。」
子供が生まれたら名付けようと決めていた名前だ。
アイリスはユリウスが幼かった頃に丘で見かけた花だ。
花言葉は
________「希望」