表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
陽国史 一  作者: いちのはじめ
59/137

カミツレ 九

 聖翼会せいよくかいのアジトの一つに侵入した並比良和司なみひらかずし。しかしそこには三十人からなる会の者が向かっていた!


登場人物

 並比良和司なみひらかずし:左腕が義手の<守人もりと>。


用語

 レイヤー:眼鏡型の情報端末。

 聖翼会せいよくかい:過激な新改革派の一つ。

 電柵でんさく:対飛び道具用の防具。

 霜雫しもしずくの剣:通常より細く長い剣。

 「了解」

 それだけを言うと通信を素早く終える、黒い長髪に綺麗な楕円の黒い瞳にレイヤー、シャープで角ばった輪郭の並比良和司なみひらかずし

 聖翼会せいよくかいの隠れ家にて潜入したものの、おり悪くそこへ、三十人に及ぶ人数がやってきているという。

 逃げるのは簡単だが、窓硝子を壊しての潜入である。潜入した証拠だけ残して去ったのでは、次は警戒されるし、悪くすれば次自体が無くなると。

 「やるか」

 レイヤーを顔に沿わせ、電柵でんさくを起動させる並比良なみひら。鋭い顔つきに。

 先ず二人だけいた、二階の部屋を攻めると決め、躊躇いなく廊下に飛び出し、その部屋の扉にたどり着き。

 かちゃり

 開けてそのまま中へ入ると扉を閉めた。怪訝な顔つきで並比良を見返す部屋の二人だが、警戒はしていない。そのまま慌てるでもなく、二人の真ん中に何食わぬ顔で進むと。

 一閃。

 甲高い音と共に抜かれた霜雫しもしずくの剣! 二人の顎下を正確に捉え、声も出せず、絶命。

 振りぬいた勢いで前へ飛びでた並比良なみひらは、互いに噴き出す返り血を浴びない。

 絨毯に染み込んでいく血を避けて、部屋を出る並比良なみひら

 残るはレストランの四人。

 下への階段まできた時。

 「!」

 誰か上がってくるっ。どうする? 斬るか? いやそれしかないっ。だが何人? 一人なのかもしくは……。

 迷っている時間はなかった。しゃがんで上に見る手すりの陰から、人の頭!

 全身の筋肉がうなりを上げる、全てがゆっくりと動く、身体が重たくなる。左腕だけが時間の重さ無視して、相手の頸へと切っ先を運ぶ。

 ぱんっ

 そう、音がした、気がした。

 何が起きたのか、全く分かっていない様子の斬られた男が、後ろへゆっくり倒れていく。血を吹きながら。

 渾身の力で階段の前へ飛び出す並比良なみひら

 もう一人、倒れ行く男を両手で押しのけるように避け、しかし慌てて上を向くその視線の先に、並比良なみひらを見つけ。

 「 !」

 叫び声を上げるその刹那、剣が首ごと声をはね飛ばした。しかし!

 「っ!」

 男の手に何か、それがかちりと音を立て。

 爆発。

 「くっ」

 どうにか上に飛びのいたが、衝撃波が肺と耳を直撃して、呼吸がおかしくなる。いや、それ以上に耳が聞こえないのはまずかった。

 「……」

 失敗である。気疲れずに聖翼会せいよくかいの中心人物、女十亀康二めときやすじを捕える事はこれで不可能となった。加えて追加の三十名も静かな山の中、今の爆発音に気づいただろう。

 引くしかない。

 素早く最初に侵入した部屋に戻る。

 「」

 最初につけた自分の足跡が、残っていることに気づいて、それを踏み荒らすと、並比良なみひらはそのまま山の中へと走り去った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ