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陽国史 一  作者: いちのはじめ
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白若竹 一

 生まれた時の記録、そして記憶。物語の始まり。

 突如としてその場に意識をした。あらゆる光と音が感じられ、匂いと振動が迫り、全てが強烈で圧倒的で、その勢いに壊れそうになった。

 恐らくこの時泣いていたと思う。それも長い間。そして闇。再び意識した時も、鳴き声で意識したように思える。

 だが別に、今にして思えば悲しいとか怖いとか、感じていたわけではなかったように思える。他に方法を知らなかったのだ。そしてまた闇。

 呼ばれたような気がした。呼ばれるという事を、意識できた。自分というものを、意識したのだ。それは音ではなく、声だと理解した。声というものが何なのか、理解した。ただそれにどんな反応をしたのか、覚えていない。色んな声に反応していたと思うが、また闇。

 光り。身体、感覚、呼吸、音、光、形、匂い、自己、意思、意識、肌、裸、ベッド、窓、外、空、部屋、壁、扉、触れる。自分、周囲、鏡、立つ、自分、自己、白く白く赤く、頭痛、睡魔、闇。

 光り、闇。

 光り、闇。繰り返す。

 繰り返す。

 繰り返す、繰り返す。

 光り。初めて触られた。頭に触れる指先はやや乱暴だっただろうか、でも身体の中心を、下から突き抜けるような電気を感じて、震えた。その人は自分に笑いかけたのだ。そして優しく口づけをした。涙が流れた。何故かは分からない。

 光り、闇。

 光り、闇。繰り返す。

 繰り返す。

 繰り返す、繰り返す。

 赤実陽(あかみひざし)。それが名前だという。首に黒い輪を付けられた。くれるというのだ。服だという。使い方を教えてもらった。肌に布が触れるという慣れない感覚に戸惑ったけど、触れた人が喜ぶので、一番そうしてくれる服にした。大切にすると決めた。

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