Episode 4.
「サド医者、」
彼女がそう呼びかけるとゆっくりとスローモーションで振り返る。
白い白衣に血が飛び散っていた。
手術台に血痕が残っている。
ツハラエルは眼鏡を押し上げるとニタァ…と笑った。
「先輩、やぁあっと解剖させてくれる決心が着いたんです?」
彼女は嫌そうな顔をしながら臭いから逃げるようにマスクで鼻を隠す。
嬉しそうにメスを手に取るツハラエルを睨み付け書類を叩きつける。
「いっ、たいなぁ…熊に当たったらどうするんですか。」
「どういうつもりだよ。」
「何がですかぁ?」
ケタケタ笑うツハラエルに彼女は苛立ちを隠さない。
半分仕事モードに入っているため殺気に満ちた目をしていた。
「ターゲットの書類の最後のだ。」
「あー、これですか?」
「お前からの依頼を受けると言った覚えはないぞ。」
「ケチ!いーじゃないですか、異能力者の目玉位。」
紙には異能力者の目玉30個と書いてあった。
流石に其れを相手にするのは面倒だしまた怪我をする。
またこいつの所に来るのは嫌なので彼女はなるべく怪我のイベントを避けている。
しかしこの仕事は異能力者が相手だ、無能力の彼女一人だと苦だ。
せめてもう二人欲しいところだが皆仕事に行っているだろうし…
彼女はツハラエルに言った。
「悪いけどこの仕事は無理、一人じゃ無理だ。」
「私も行くけど?」
「せめてあと一人だな。」
暇そうなのは、とツハラエルが名簿をバラバラと探す。
地下室は奇妙な涼しさで包まれている。
「…私だって上から言われた仕事があるんだ、お前の収集ごっこに付き合うつもりはない、じゃーな。」
「あーん待ってよ先輩!」
ツハラエルは白衣を脱いで新しい白衣を着るとテディベアを持って着いてきた。
彼女は早足でツハラエルと距離をとって廊下を突き進んだ。