Episode 17.
「ねーねー、そこの君。」
後ろをチラリと見るとニッコリと笑ったキルティアが人影を見ていた。
人影はくるりと振り返り言った。
「私の事?」
「そーそ!君って上技見麗子さんだよね?」
麗子はハッと思い出す。
(指名手配の…人間狩りか…)
その名を思い出すと笑いが込み上げてきた。
強敵と戦える、と考えただけでも喜が背筋をゾクゾクと駆け巡った。
それを感じ取ったキルティアも顔を歪めた。
その光景を隠れ見る彼女は溜め息を吐いた。
(おっと、つい癖が…)
直ぐ溜め息を吐いてしまう彼女の悪い癖だ。
昔あの子に「溜め息吐くと幸せが逃げるよ。」と言われたのを思い出す。
幸せとは掛け離れた存在になってしまったのでもう気にしていない。
律儀に気にしていた時が懐かしい。
「きひゃひゃっ!たつみぃん、そこで何してるの?」
「隠れてても分かるからねー?」
(面倒な奴等だ。)
隠れていた木陰から出ると2人は嬉しそうに笑った。
間違いない戦闘フラグに彼女は後悔をする。
(すぐに帰れば良かった…)
時すでに遅し。
キルティアに手を引かれ崖に3人突っ立っていた。
彼女は欠伸を垂らし2人を睨んだ。
「ぴゃっ!死神ちゃん嫌そうな顔しても無駄だよ。」
「戦いっこしーましょ。」
「…とっとと前線見に行かなきゃなんだけど。」
3人の視線がぶつかる。
遠くで轟音と共に断末魔が響く。
「戦争は始まってるんだよ、邪魔しに行けって言われたの、行かしてくれない?」
「つまんないよー!」
「きひゃひゃひゃ!!相変わらずたつみんは組織のボスさんに好かれてるね!」
嫌なお世辞に顔を顰める。
強行突破も考えたが2vs1じゃ勝ち目は無い。
この2人は強いから。
彼女は溜め息を吐いて鎌を振り上げた。
「は?」
「えっ、」
ガラガラと音を立てて崩れる崖。
彼女はその隙に姿を眩ます。
キルティアと麗子は残念そうだったがすぐに武器を構える。
そして、刃物がぶつかり合う音が響く