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紅林さんはずるい。

無理強いはしないとか言いながらそんなに甘く私に触れてくるんだもの。

紅林さんにもっと触ってもらいたい。

もっと触れていたい。

だけどそんなこと恥ずかしくて口に出せなくて。

瞳だけがうるうると揺れる。


「…そんなに俺を煽るなよ。」


「ええっ、そんなんじゃ…。」


私に覆い被さるような形で壁に手をついて前髪を掻きあげる紅林さんが、ものすごく色っぽく見えた。

そしてこれはいわゆる壁ドンというやつでは。


急に恥ずかしくなって目を伏せたら、顎をくいっと上に向けられて唇を塞がれる。


「後悔しても知らないからな。」


「紅林さんが優しいこと知ってます。後悔なんてしないです。」


「…まいったな。」


そう言うと、紅林さんは私をお姫様抱っこでベッドへ運んだ。

そんなことされるのも始めてで、私は戸惑う。

だけどそんな私にお構いなしに、紅林さんはそうとうなお姫様扱いをしてくる。

それは優しくて甘くてとろけるようで。


そして私は紅林さんに抱かれた。


前は緊張してどうなるのか怖くて受け入れられなかったのに。

今日は全然そんな気持ちが湧かなくて。

それよりも紅林さんをもっと感じたくて。

そんな風に思ってしまう自分にも少し驚いて。


幸せでいっぱいになって、そして意識が遠のいた。

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