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紅林さんが近すぎて、ドキドキが止まらないよ。
この気持ちはもう抑えられない。
もうだめ。
「あのっ、私、紅林さんが好きです。…私と付き合ってください。」
勢いってあると思うんだ。
今の私はもう、紅林さんへの想いが溢れちゃってて止めることができない。
私の言葉に、紅林さんはピタリと動きを止めた。
二人の間に沈黙が流れた。
私は顔真っ赤だし、紅林さんは手を口元にあてて考え込んでいるようだし。
ときめいていたドキドキは、緊張のドキドキに変わっている。
やがて、紅林さんが静かに口を開いた。
「ありがとう。…でも、俺には君と付き合う資格はないよ。」
「資格って何ですか?私と付き合うのに国家資格でもいるんですか?資格も○も△もいらないです!」
自分でもびっくりだけど、私は紅林さんに食らい付く。それほど、私は真剣だから。
紅林さんは困ったような顔をして、優しく言う。
「…バツイチなんだ。君のような若くて可愛い子は、もっとちゃんとした人と付き合うべきだよ。」
「ちゃんとした人って、紅林さんはちゃんとしてないんですか?私のこと嫌いですか?」
「…いや、そういうわけじゃないけど。」
優しく言われたって、その優しさがよけい胸に響くんだよ。
優しくされたら期待せざるを得ないでしょ。
私にも可能性があるんじゃないかって。
ダメならもっと突き放すように言ってほしいよ。
じゃないと、好きな気持ちがもっともっと溢れ出ちゃうから。




