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何だか気まずい…。

お酒を飲んでやり過ごそうとグラスを持つ。

口を付けると同時に、紅林さんが口を開いた。


「…ちょっと飲み過ぎじゃない?ペース早い気がする。」


「え、あ、すみません。」


自分の飲みっぷりを見られていたことに驚く。

もしかして本当に私たちの監視役ですか?

一応合コンなんだけどな…と思いつつも、ちゃんと見ててくれたことに胸がとくんと跳ねる。

いや、跳ねてる場合か。

一歩間違えれば口うるさい人だよ。

ああ、とにかく落ち着け私。

話題を、そう、話題を変えよう。


「あの、紅林さんは前は設計課にいたって本当ですか?」


うちの会社の設計職は大卒か院卒しか採用してないし、どちらかというと上にあがっていくエリートが多い。

対して製造課は高卒や専門卒が主で、設計職から異動なんて聞いたことがない。

それなのに紅林さんは、設計課から製造課に異動したレアな人物だという大島さん情報を私は引っ張り出す。


私の質問に、紅林さんは眉間にシワを寄せた。

もしかして不味いこと聞いたかしら。


「あ、ごめんなさい。言いたくなかったらいいです。」


取り繕うように言うと、紅林さんは一度目を伏せてから小さく息を吐き出し、そして私を見る。


「いや、元々ものづくりが好きで設計職として入社したんだけど、机の上で設計だけしていることに疑問を感じたんだ。設計も好きだけど、それを自分の手で作るということの方にだんだん興味が傾いて、それで異動願いを出した。…ただそれだけだよ。」


「へぇ~。かっこいいですねぇ。素敵な想いを持って仕事に取り組まれているんですね。すごいなぁ。」


紅林さんの仕事に対する想いに、私は素直に感心した。

比べて私はどう?

そんな真剣な想いで仕事に取り組んでいるかしら?

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