25 雨…のち…
「どう、落ち着いた?」
ガーディアは背中のレイナに話しかけた。
返事はない。
サニーがそっと覗き込むと、レイナは眠っていた。
サニーはレイナの髪を優しく撫でた。
「よほど嬉しかったんだろうね」
多分、レイナは雨が喜ばれることがあることを知らなかったのだ。エレファーに言われたくらいでは実感としては薄かったのだろう。
「雨も必要だし、晴れも必要。これを分かってくれるといいなぁ」
サニーはレイナを見つめながらそう言った。
「あ、それから…」
サニーは悪戯っぽく笑った。
「雨を降らせるときは、俺の気象予報を覆さないレベルで、ね」
いつのまにか雨は止んでいた。
さてさて、今日はこの辺りで宿を取ろうか、と小さな町に着いてガーディアは背中のレイナを起こさないように人にぶつからないよう気をつけながら宿を探した。
「あっ!」
ガーディアはサニーにまで気が回らなかったことを後悔した。
サニーは、人にぶつかり、見事すっ転んでいた。
「これは…やっちゃったねぇ…」
サニーはすぐに起き上がったが、自分の服を見て力なく笑った。雨は上がったもののしっかりと水分を吸った泥が、みっちりとサニーの服についていた。
「大丈夫?…じゃないよね」
ガーディアが、サニーの状況を見てため息をついた。
「うーん、怪我はしてないと思うんだけど…汚れちゃったねぇ」
さてさて、こんな泥まみれで泊めてくれる宿はあるかなぁ、とサニーはあまり深刻そうにもなくため息を返した。
「も、申し訳ない!」
ぶつかった相手が慌てて謝ってきた。
「いいよ、いいよー」
サニーはヒラヒラと手を振りながらそう言った。
「ですが……あっ!」
相手はサニーの様子を申し訳なさそうに見つめ、驚きの声を上げた。
「サニー!?」
「あれ?クラードさん?」
嬉しそうにサニーに抱きついたクラードに、あーあ、クラードさんも汚れちゃった、とサニーは笑いながら呟いた。
クラードの後ろでは、サーチルがガーディアの背中のレイナを確認して、よし、と満足そうに拳を握りしめていた。
「とりあえず、宿を決めようか?」
逃すまいとするかのようにサニーに抱きつくクラードを呆れるように見ながらガーディアはそう言った。
「君たちは宿決まっているの?」
ガーディアはレイナのクラスメイトだったと自己紹介したサーチルにそう尋ねた。どうやら年長者のクラードよりサーチルと会話した方が早そうだと判断したらしい。
「まだです、私たちは先ほどこの町に着いたばかりですから…。今日、お会いできて、よかったです。クラードさんのお相手に大分疲れてきていましたから…」
子供相手にそう言われるクラードをガーディアは哀れみの目で見ながら、まぁ、そう言われるのも仕方がないか、とため息をついた。
クラードは、サニーに抱きつきながら、ねぇ、帰ってきてよぉ、と泣きついていた。サニーは困ったように元の職場の先輩の背中を撫でていた。




