24 雨はやっぱり迷惑ですか?
「うーん…」
サニーは空を見上げて眉を寄せた。
もう5日も雨が降り続いている。
レイナの様子を見ると、嬉しそうにクルクルと回っていて、まだその興奮から冷めそうにない。
「そろそろかなぁ…」
サニーは心配そうに呟いた。
「レイナちゃん、もうそろそろ落ち着こうか」
サニーがそう声をかけると、レイナは頬を膨らませながら動きを止めた。
レイナが、しばらくここに泊まりたい、と言ってからファムールの家に厄介になってから、5日になる。
泊めてほしい、と言うと、サニーたちの頼みをファムールが断れるわけもなく、3人は無事ファムールの家の1室を宿泊場所として確保した。食事も簡単なものではあったが、3食提供される。
「レイナちゃん、もうそろそろ次に行こうか?」
サニーがそう言うと、レイナはブンブンと首を横に振った。
「嫌だよ。まだまだここに雨を降らせるよ。雨が嬉しい…私も嬉しい…」
その言葉に、サニーはそっとレイナの肩に手を置いた。
「レイナちゃん、もう十分だと思うよ。もうそろそろ、みんな晴れが恋しいんじゃないかなぁ」
「うそっ!」
レイナが目を見開いた。
「ちょっと外に行ってみようか」
レイナはサニーとガーディアと連れ立って外に出た。
シトシトと雨が降り続いている。
あれだけ種まきなどに勤しんでいた人の姿は今はもう畑の中にはない。
みんな恨めしそうに空を眺めていた。
「早く晴れないかなぁ…」
そんな呟きがどこからともなく聞こえる。
レイナは雨に濡れながら、キョロキョロと周りを見渡した。
あれだけ雨に喜んでいた人たちの姿はどこにもない。
「このままじゃあ、芽が出ないよ…」
「ちょっとあそこに水が溜まっているね…どうにかして抜かないと…」
ため息とともに聞こえてくる言葉。
「いやぁ!!!!!」
気がついたらレイナは両耳を手で塞ぎ叫んでいた。
倒れこみそうになるレイナをガーディアが優しく受けとめる。
突如として激しくなった雨が3人に叩きつけるように落ちた。
「何もこんな天気の時に旅立たなくても…」
旅立ちを告げると、ファムールは怪訝そうにそう言った。
「それに…彼女は大丈夫なのかい?」
ガーディアに背負われて、まだ、ヒックヒックと泣き続けるレイナを心配そうにみつめた。
「えぇ」
サニーは作り笑いで答えた。
「ちょっと家が恋しくなったようです。そんなわけですから…お世話になりました」
そう言って、別れを告げるとサニーは頭を下げた。
「いや…色々悪かったね。私が言えることではないんだが…道中気をつけて…」
決まり悪そうにファムールはそう言った。
「まあ、私がいるから大丈夫ですよ」
ガーディアが、笑顔でそう返した。
3人はファムールに見送られ、村を後にした。
サニーとガーディアは何度か振り返りファムールに手を振ったが、レイナはガーディアに背負われたまま、その顔はガーディアの背中にピッタリとくっつけていた。




