19 雨の恵み
爽やかな朝。
空には雲ひとつない。
レイナとサニー、ガーディアの3人はエレファーに連れられて、畑に来ていた。
「ほら、見てみろ。昨日の雨のおかげで、葉がイキイキとしている」
「本当だ!」
そう言ってサニーは畑に足を踏み入れた。
まだしっかりと水分を含んだ土に足がめり込んで、サニーは慌てて引き返した。
その様子を見てエレファーはハッハッと愉快そうに笑った。
「日頃のわしの土づくりの賜物だな。雨が少ない中でも、ガチガチにならず、うん、よい土だ」
エレファーは土を手に取りながら満足そうに呟いた。
「昨日まではさすがに少し葉がシュン、としていたが、おかげで今は元気いっぱいだよ」
その言葉でレイナの顔に笑みが広がった。
「好きにとって食べたらいい。それが今日の朝食だ」
エレファーの言葉に、3人は各々畑の作物に手を伸ばした。
それぞれトマトやキュウリを手に取り、口に運ぶと黙々と食べた。
その顔は全て笑顔だ。
その様子をエレファーは満足そうに頷きながら見ていた。
「もう行くのか?」
朝食を食べた後、出発の準備をする3人を見て、エレファーは寂しそうに呟いた。
「うん、まだ旅の途中だからね」
サニーがそういう横でレイナはコクン、と頷いた。
心なしかレイナの表情は明るい。
「気をつけていくんだぞ」
「はい」
エレファーが心配そうにそう言うと、サニーとレイナはそう言ってエレファーと握手を交わした。
「任せといて!」
ガーディアはブンブンと腕を回した後、エレファーと握手をしたがその力強さにエレファーは微かに顔をしかめた。
「ありがとうございました」
そう言って3人は去っていった。
「近くに来たらまた寄りな」
エレファーは3人の姿が見えなくなるまで見送ると家に入った。
「あいつはどうしているかな…」
そう一人つぶやきながら、エレファーはベアルに手紙をしたためた。たった2日の出来事だったが、エレファーは出会いから思い出し、ついつい顔がにやけるのだった。