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雨女でゴメンナサイ  作者: 真楠 冷
第1章
18/26

18 雨…に感謝?

 雨音は少し小さくなってきた。

「なんだ、レイナは雨はよくないと思っているのか?」

 エレファーはそう言いながらホットミルクを3人の前に置いた。

「違うの?」

 レイナは不思議そうな顔でエレファーを見た。

「いつも雨が降ると…みんな文句を言った…」

「そうか…」

 エレファーは寂しそうに笑うと、レイナの頭を撫でた。

「雨は悪いわけじゃない。特に、このようにしばらく雨が降っていない時に降ってくれたら、嬉しいものさ。今日はここに泊まればいい。そして、明日、わしの畑を見てごらん。この雨で、植物達はイキイキとしたはずさ」

「雨が嬉しい…」

 レイナは困惑した表情で呟いた。

「そうだよ。嬉しいんだよ」

 そのエレファーの言葉にレイナは固まっていた頬を緩め、ほんの少し笑みを浮かべた。

「そうかぁ…雨が嬉しい…私…嬉しい…」

 しみじみとそう呟くレイナをサニーとガーディアはニコニコと眺めていた。


 いつのまにか雨は上がり、晴れ間がのぞいていた。

「あっ!」

 窓の外を見たサニーが嬉しそうな声を上げた。

「レイナちゃん、外を見て!」

 レイナは窓に近寄って外を眺めた。

 そこにはキレイな虹がかかっていた。

 レイナはニッコリと笑みを浮かべた。


 3人を客間に案内すると、エレファーはベアルからの小包を開けた。

 中に入っていたのは一通の手紙。

 エレファーは思わずニヤニヤしながら手紙を読んだ。

「あぁ、懐かしい。あいつとの旅は…めちゃくちゃだったが楽しかったなぁ」

 ついつい漏れる独り言を呟きながらエレファーは手紙を読み進めた。

「そうかぁ、あいつも親だなぁ…」

 そう呟くと、エレファーは手紙を書き始めた。


「おい、夕食食べるぞ」

 エレファーはそう客間に声をかけた。

 どうやら一眠りしていたらしい3人は、ややぼーっとした状態で部屋を出てきた。

「さあ、食べな」

 そう言ってエレファーは、皿を並べた。

「料理の腕前はないからほとんど素材そのままだが…野菜はわしの畑で採れたやつだから美味いぞ」

 エレファーは胸を張ってそう言った。

「ありがとうございます。いただきます」

 3人は手を合わせると、目の前の食べ物を手に取った。

「美味いっ!」

 サニーがキュウリにかぶりついてそう叫んだ。

「甘くて美味しいっ!」

 トマトにかぶりついたガーディアも驚いたように叫んだ。

「とってもおいしいです」

 2人にくらべると小さな声ではあるものの、茹でたアスパラを口にして、レイナは嬉しそうにそう言った。

「そうだろ。わしの自慢の野菜じゃ。沢山食べろ」

 エレファーはそう言って笑った。


「ほれ、食後のデザートだ」

 食事も終盤となり、皆が満足し始めた頃、エレファーは桃を出してきた。

「それぞれ自分で皮を剥いてかぶりつきな。ただし、果汁が服につかないように気をつけろよ。シミになるからな」

 エレファーはそう言って一つずつ桃を渡した。

「おいしい」

 ほぼ同時にかぶりついた3人が口を揃えてそう言うのをエレファーは満足げに頷いた。

「そうだろ。ただもうちょっと雨が降っていたらなぁ、もっとよかったんだがな。味はいいが今年の桃はちょっと小ぶりだな」

「雨が降った方がよいのができていた…?」

 レイナは不思議そうに呟いた。

「そうだよ。お天道様もありがたいが、適度に雨が降ってくれないと、いいのは採れないね」

 エレファーはそう言って笑った。

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