17 雨…降らせました
「まぁなんだ、とりあえず中に入りな」
大男は戸惑いながら3人を家の中に招き入れた。
サニーは、レイナの肩をポンポンと軽く叩くと、ガーディアの後ろについて中に入った。
大男は他の部屋から椅子を運んでくると3人に座るよう勧めた。
「で、あんたらは何だ?」
「申し遅れました。私はベアルの娘でガーディアと申します。こちらはサニーとレイナ。父・ベアルからこれを預かってきました」
ガーディアはそう言ってベアルから預かった小包を大男に渡した。
「ふぅん、あんたがあのベアルの娘ねぇ」
大男はガーディアを面白そうに眺めた。
「俺は、エレファーだ。ベアルとは若い時に一緒に旅したりして世話になった」
懐かしいな、と言いながらエレファーは小包を受け取った。
「で、そっちのサニーとレイナってのはガーディアの弟妹か?」
「まさかぁ!」
サニーが驚きの声を上げて笑った。
「どう考えても似てないでしょ。レイナちゃんがガーディアさんの妹に見える?」
「うむ」
エレファーがじっくりとレイナを見た。
パラパラとしか降っていなかった雨の音が心なしか大きくなったようである。
「似てないな。レイナがあのベアルの娘とは到底思えぬ。で、そのレイナはなんで謝ったんだ?」
エレファーにじっと見られて、レイナは思わず顔を背けた。
「ま、まさか俺の畑のものを何か盗ったか?」
レイナはブンブンと首を横に振った。
「じゃあ、なんで謝ったんだ?」
「あ、雨…」
「あぁ、雨足が強くなってきたな」
レイナの言葉にエレファーは窓の外を見てそう言った。
「あ、雨を降らせてゴメンナサイ」
そう言って謝るレイナをエレファーは、「は?」と間抜けな声を出して見つめた。
「何を謝っているかわからないんだが…」
「わ、わ…たし…雨降らせ…た…です。だから、ゴメンナサイ」
泣きそうな顔でそう言うレイナの頭をエレファーは少し乱暴に撫でた。
「まあ、なんだ。よくわからないが…レイナが雨を降らせたのだとしたら、謝る必要はないな。むしろありがとう、だ」
「えっ?」
レイナは驚いてエレファーを見た。
「恵みの雨だよ」
「ふぇっ!?」
レイナはやや間の抜けた声を出し、ポカンとしてエレファーを見た。
ニッコリと笑みを浮かべたエレファーは、それはそれでなかなかの迫力があるものだったが、レイナは少しホッとした表情となっていた。
「じゃあ、怒ってない?」
「あぁ」
そう言ってエレファーは、自分の顔を両手で掴みややつり上がった目を下げてみせた。
「元の顔が強面だから誤解されるが怒ってなどいないさ。さっきも言ったように、レイナが雨を降らしてくれたのなら大感謝さ」
エレファーの変顔を見て、サニーがクックッと堪えきれずに笑いを漏らした。
「笑うなっ」
エレファーがサニーを見てそう言うが、いくら強面でも照れて赤くなった顔では今ひとつ迫力がない。
「感謝?」
レイナはキョトンとした顔でエレファーを見ていた。