(7) 「学校と新居」
生き返ってから初めての学校。前世の俺なら学校に行くのは正直嫌だったが、今の俺は勉強する気がないのでそこまで嫌ではない。本音を言うと、復讐の計画を立てる時間を確保することができて有難い。学校も利用して復讐をする。俺には時間がないのだ。
手短に朝食を済ませ、身支度をして、家を出てから約30分。俺は道に迷っていた。考えごとをしていたせいかもしれない。たしか、登校時間は8時まで。そして、現在7時45分。頑張れば間に合うかもしれないが、ここがどこか分からな以上、頑張ることもできない。どうしようか……………。
それは突然のことだった。俺の右ポケットに入っているスマホが震えたのだ。
アモンがやったのかと思い、画面を見るとそこには、佐倉織姫の4文字が写し出されていた。
「も、もしもし?」
「ゆうくん?」
「お、おう」
「今どこに居る?」
「お、俺か?」
「そうだよ!」
「じ、実はな………」
「うん」
「道に迷った…………」
「分かった、今すぐ向かうから今居る場所の特徴を教えて」
俺は分かる限りの特徴を佐倉に伝えた。佐倉は5分で向かうと言っていたが本当に来るのだろうか。不安は残りつつも、今回ばかりは不味いと思ってたから、本当に佐倉には感謝しなければならない。まぁ復讐は必ずするけど。
5分後。佐倉は本当にやってきた。佐倉恐るべし!
「助かったよ織姫」
「ゆうくんがいつもの時間に学校に居ないから不思議に思ってたら迷子になってるなんて」
「考えごとしてたら、道を間違えたみたい」
「ほんとにしっかりしてよ~」
「ごめん、ごめん」
「もう、これは明日から一緒に行くしかないね!」
「え?」
そして、俺は佐倉のおかげで無事学校に着くことができた。
◇◇◇◇◇
「よぉ!祐也!」
「ん?」
「今日は来るの遅かったじゃねーか」
「……………………………………………」
「な、なんか言えよ…」
「じゃあ、どちら様?」
「おいおい、祐也くん。それは少し酷いんじゃぁないか?」
「そう言われてもな……」
「仕方ないなぁ!こぉの俺は!学年三位の頭脳を持ち、最高三股をして彼女たちにぼこぼこに殴られたことのあるさいきょーうの眼鏡男子!女に愛され女に殴られる男!その名はぁ!さいとーうかぁーずまだぁああああああ!!!!」
「とりあえず、かずまっていう名前のやつはカスしか居ないのは分かった」
「それ、全国のかずまさんに謝れ」
「で、誰?」
「このやろぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおお!!!!!!」
カスマだがグズマだが知らんが、記憶にないものは仕方ない。こっちは二度目の人生を謳歌している途中なのだから悪ふざけで邪魔されると腹が立つからやめてほしい限りだ。
…………………だけど、なんかあいつ引っ掛かるな。上手く思い出せないけど、多分前世で俺と関わっている気がする。注意は一応しとこう。えっと、まことだっけ?あいつ。
◇◇◇◇◇
この時期になると授業らしい授業はなく、ほとんど自習に近い形で勉強をしている。なかには、来てない生徒も見受けられる。学校に来る意味が無いと判断したのだろう。そして、それを学校側は黙認している。学校側としては合格してもらえればそれで良いのだと思う。
おかげで、計画を入念に立てることが出来る。
「あの…………」
「……………………」
「あの…………………」
誰かは分からんけど、声かけられてんだから返事ぐらいしてやれよ。
「あの…………東雲くん……」
東雲ってやつが呼ばれてるぞ。……東雲?このクラスに他に東雲ってやつ居たか?え、もしかして俺?嘘。
「えっと、あの、その………俺のこと呼んだ?」
「あ、はい。呼びました。……ずっと呼んでました」
「ほんとにごめん。自分に話かけられてないと思ってた」
「なんか、前にも同じようなことありましたよね」
「そうだったか?」
「そうですよ」
話しかけてきたのは、黒髪ロングのいかにも読書女子って感じの優しそうな雰囲気の持ち主であった。佐倉にこそ劣るがそれでも街を歩けば視線ぐらい簡単に集めれそうな容姿をしている。
「そ、それで何のようかな?」
「あ、ごめんなさい。私から話しかけたのに用件を良い忘れてたなんて……」
「気にしてないから、どうぞ」
「あ、うん。それでね私がクラス委員やってるのは知ってると思うんだけど、先生に「この前配った進路関係の書類未提出の人の分集めといてー」って頼またんだけどね、それが東雲くんまだ未提出だから………」
名前も分からないこの子がクラス委員をやってたのは何となく予想はついたけど、この前の書類って何?さっぱり分からない。どうするか………
もしかしたらだけどシアイチにそのことが載ってるかもしれない。ダメもとで確認してみるか。
「ちょっと待ってくれな」
「うん」
俺はスマホを取りだしてシアイチを起動し、今日の日付をタップした。
2/12(月)
書類 紛失
そこには、しっかりと「書類 紛失」の文字が載っていた。前世の俺。ばか野郎。
「あ、ごめん。なくしたみたい」
「はぁ、やっぱり?」
「その書類のことは先生に自分で謝りに行くから」
「その必要はないよ。私、余り持ってるから」
「すまん。それ下さい」
「良いけど条件があるよ」
「俺に出来る範囲なら、やってもいいぞ」
「昼休み屋上に来て」
「よし、分かった」
「ありがと、はいこれ」
念のため、言っておこう。彼女の名前は知らない。
この子、最初からこれが目的だったな。だから「やっぱり」って言ってたしな。
シアイチの部分、テキトウに書きました。ごめんなさい。それとリアルが忙しくなりはじめまして、更新ペースが一週間に一話ぐらいになる予定です。