(14) 「狂い」
不味い。非常に不味い。何故だ?何故こんなことが起こった?ある程度のことなら対応出来た。だが、これは想定外だ!いつ、一体誰が!ああ!もう!訳が分からない!どうしてだ。どうしてこうなった!!
その日、順調に進んでいた計画に狂いが生じた。修正出来るかはまだ分からない。もしかしたら、今までの計画、特に佐倉織姫に対しての計画は全て水の泡かもしれない……………
◇◇◇◇◇◇
「おい!祐也!」
全校生徒が混乱して、雑音が多いなかこいつの声だけは耳に嫌でも入ってきた。そう、授業中にトイレに行ったやつだ。名前は分からない。
「おう、トイレ。お前は無事だったのか」
「齊藤和馬だ!それより、お前こそ無事だったんだな」
「お陰さまでな」
「佐倉さんは?」
「救急車で運ばれた」
「え、それじゃあ………」
「命に別状はないらしい。だけど心配だからこのあと行く」
「なら、良かった。ホントに誰がこんなことしたんだろうな」
「ああ」
ホントに誰がこんなことを………。俺の計画を邪魔した。だから、そいつは潰す。俺は我慢なんてしない。復讐の邪魔をするやつはどんな手を使ってでも、あらゆる形で消し炭にする。
「なぁ、祐也。俺達だけで犯人を探そうぜ」
「お前と探して俺になんのメリットが?」
「その口ぶりからすると探すことは探すんだ」
「織姫が巻き込まれてるからな」
「最高の彼氏じゃねぇーか」
「当然のことだ。それで?」
「メリットか………そうだな………二人で探せば時間が短縮出来る?」
「それだけか?」
「うーん。。。あ!祐也ってあんま友達居ないじゃん?」
「うるさい」
「まぁまぁ。それでさ、俺なら各学年に顔が利くから情報を効率良く集められるぞ」
確かに、俺は前世でも今でも学校には友人というものを作っていない。情報を効率良く集められないのは俺としても痛いし、ここはトイレの話に乗っておいたほうが良いな。
「分かった。そういうことなら」
「キタコレ!そうと決まったら早速動こうか。ワトソン君」
「調子に乗るな」
◇◇◇◇◇
「よし。一度集分かってる情報を整理してみるか」
「そうだな」
ことの発端は昼休み。俺達が通っている高校は教室棟と管理棟に別れている。そのため、生徒の多くは昼休みを教室棟で過ごす。そんな、教室棟で事件は起こった。
教室棟二階にある、女子更衣室が爆発した。
その後、出所不明の火事が発生。瞬く間に炎は教室棟を包み込んだ。幸い、更衣室には生徒は居なかったがその近辺に二人の生徒が居た。佐倉織姫と俺だ。俺達は昼食を食べるため更衣室近くに向かっていた。数メートル先行していた、佐倉織姫は病院行き。俺は無事であった。すぐに俺は佐倉を助け、外に出た。他の生徒も俺達より先に出ていたため、火事には巻き込まれなかった。
「だいたい、こんな感じか」
「ああ」
「佐倉さんには悪いけど、お前本当に運が良かったな」
「たまたま、持っていたペットボトルを落としてな。それで織姫が先行していた」
「それで、これからどうする?」
「そうだな……学校は警察が居て入れないし、昼休み前に更衣室を使った女子を探して話を聞くか」
「了解。じゃあ、俺がその仕事をやるから祐也は佐倉さんのとこに向かって」
「悪いな」
「いいよ。別に。俺は将棋で言う歩だから。前にしか進むことの出来ない単純なやつだからさ」
「助かる。何かあったら連絡入れる」
「おう!」
トイレには悪いが今回お前は有効活用させてもらう。俺の駒となってしっかり働いてくれよ……………
◇◇◇◇◇
「織姫!」
「あ、ゆうくん…………」
トイレと別れたあと、予定通り佐倉が運ばれた病院に向かった。病室に向かう途中で警官らしき人とすれ違ったが、それ以外は特に何もなかった。
「大丈夫か?」
「うん。平気。火傷とかもないし」
「だけど、入院してるってことはどこか悪いんだろ?」
「あはは。ゆうくんにはすぐにばれちゃうや」
「どこが悪いんだ?」
「悪いって言ったら変かもしれないけど………全身打撲だってさ」
「……………っ!」
パーフェクト彼氏をこなしている俺はこういうとき何をすれば良いか心得ている。半泣きの状態で抱擁だ。
「…………悪い。俺が…………俺がもっとしっかりしてれば………」
「ゆうくんっ。ゆうくんは悪くないよ。だから、泣かないで」
「泣いてないよ…………っ」
「ゆうくんのそういうとこ好きだよ」
「織姫。治ったら何して欲しい?」
「そうだな…………一緒に居て」
「当たり前のことを言うなよ。馬鹿」
「あはは。でも、今はその当たり前が心地良い」
「なら、嫌って言うほど一緒に居てやるよ」
「ゆうくんと一緒に居て、嫌なときは絶対来ないよ」
安心して下さい。絶対に来ます。遠くない未来に。
「ゆうくん、忙しいでしょ?今日はもう大丈夫だから行っていいよ」
「ごめんな。こんときなのに」
「ううん。大丈夫」
「じゃあ、いくよ」
「うん。バイバイ」
やっと演技をやめられる。演技って疲れるから嫌いなんだよ。さて、次は何をしようか…………とりあえず、なんか知ってそうなあいつに話を聞くか。いつだか、泣きついてきた委員長さんに。
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