第一章-2
「そうみたいだな」
なんか、懐かしく感じるな。
実戦演習が始まった中等部以来か。
あれからというもの喧嘩吹っかけられなくなったからな。
『さぁ、始まりました。今年最初の模擬戦。対戦カードは七大国の一つ《ヘイラム》の第一王子ドラコ=アヴァロニクとその親衛隊約五十人。そしてその対戦相手は我が国の抱える問題児天宮陽斗だー!』
聞きなれた先輩の声に似ているのは気のせいだろうか。
『やっちまえ王子!』
『俺たちはお前を応援してるぞ王子!』
そして、本気で王子を応援しているのがミストラル出身者が多いのは気のせいだと思いたい。
「どうやら、あいつ嫌われ者みたいですよ。殿下」
「庶民と僕。どちらを応援するか。そんなものは決まっているだろ」
もうムカつき通り越して面倒くさいよこいつ。
早く始めてくれないかな。
『尚、今日は解説役として千堂奏夢後輩にお越しいただいております。まぁ、よろしく頼むわ千堂』
おい、実況キャラが崩れてるぞ。
『よろしくお願いします竜胆先輩』
千堂のやつあんなところにいたのかよ!
なら、こっち来いよ!今すぐに!
『さっそくだが千堂。この試合どう見る?』
『いやぁ、楓が隅で紅茶飲んで試合放棄している時点で結果は見えてるでようなものですよ』
『ミストラル学園出身からすれば毎度お馴染みの光景だな。けど、今日は王子の前評判がいいせいか、声援がいつにも増して活気がある』
言いたい放題だな。
というか。そろそろ、始めてくれないか?
『話してる時間も無駄ですし、そろそろ始めましょうよ』
『それもそうだな。それじゃあ、試合開始だ』
いきなりのゴングに反応した王子親衛隊の前列にいた十人は銀色のブレスレットから細剣を取り出し、王子はどこからか取り出された豪華な椅子に腰掛ける。
このまま、目の前に迫る奴等を無視して殴り飛ばしに行ってもいいが、久々だし面倒ごとに巻き込まれたんだ。少し遊んでも罰は当たらないだろ。
とりあえず避ける。