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鳥籠姫と隻眼の貴人  作者: 柴咲もも
1/6

プロローグ


 からだが石のように重くて動かない。

 どこかであのひとが、わたしの名前を呼んでいた。


 全身が凍え切ったように痺れていて、右の手のひらだけがぬくもりを感じている。

 おぼろげな視界に、あのひとの影が映る。

 大好きだった、誰よりも大切なひと。

 それなのに。



 ——ごめんなさい。

   もう、あなたの顔がわからないの。



 その言葉は声にならなくて。


 泣き叫ぶあのひとの声が、胸の奥に沁み渡る。

 あのひとのぬくもりが離れていく。




「約束する。必ず、きみを——」




 その言葉の先は、わたしの耳には届かなかった。

 深い深い闇の底へと、わたしの意識は呑まれていった。





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