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黒の天使   作者: 橘 藍華
8/10

まぁ色々あった

前振り

読者の皆に言っておきたい。

8話まできているのにまだ土曜日である。

美沙とのデートはなくなったので、天使とカフェに来ている。まぁ現時点で美咲は死んでいるわけだから、そうなってしまう。

ちなみに時系列的には美咲が死んでから天使に対して語っているところと本編が同時進行になっている。

時間って長いな。

後、今回は強盗に襲われるんだけど、今まではシリアスだったのが、くっそつまんなくなると思う。

でわ本編へどうぞ。


第8話

2月10日 午後一時 停電したショッピングモール サウスホール


俺は暗闇の中、1人の男と、血まみれの少女を、その場に這いつくばって見ていた。辺りには死体が4つあった。


今、俺の両手は縄で縛られている状態であまり身動きがとれない。


いっぽう、男の左胸近くにはナイフが刺さっており、もう長くはないということがわかる。

対して少女は左手にトンカチを持っていた。まだバーコードの上にシールが貼ってある新品だった。


近くに見覚えのある黄色と黒の袋が落ちていることから、ドンキで買ったなということはわかった。


どうでもいい。


少女はトンカチを構え、振り下ろした。脳天に直撃し中身が飛び出す。


男は死体になり、遺体になり、物になった。男は生物ではなくなり、固有名詞ではなくなり、人ではなくなった。


その後も男は砕かれ、バラバラにされて、まるでブロックのように一つ一つのパーツが小さくなっていった。


砕く際、一回一回血が飛び何滴かこちらに飛んできた。汚ねぇな。


次の時だった。少女がこちらに走ってきた。

とっさに立ち上がったが血で滑ってこける。


少女はゆっくりとした足取りでこちらへ向かってきて、トンカチを構えてきた。


一瞬頭に何かが強く当たる感覚がして、意識が飛んだ。



時は二時間前にさかのぼる。


デパートの一角、スターバックズコーヒーに天使と来ていた。


天使は黒パーカに短パンと天使らしからぬ格好をしていた。


にしてもキャラメルマキアートは美味い。ドールサイズを頼んでしまった。


『なぁ天使、お前をさすがに天使と呼ぶのはおかしいと思うんだ』

後呼んだ時の周りの視線が痛い。


『まぁそうね、一応私の本名は鏡屋かがみや 琴菜ことなというのだけど』


苗字カッコイイ


『そうか、鏡屋ってかっこいいな』

『そうかしら?わたし的には立花とかめちゃくちゃ、かっこいいわ。なんかサバゲーやってそうな名前よね』

俺は立花 蛍ではない。俺は立花一夏だ。


『んで、なんでスタバなんだよ』

『え、まぁちょっとね』

なにその受け答え。最近のギャルでももう少し良い答えが出てくるよ?


『まぁ、話しやすいからかしらね』

早く言えよ。このアマ。


そこから俺と天使こと鏡屋で、美沙のことについて話した。話しは美沙が消えようとしているが、俺にはどうしようもできない、というところまでいった。


『でも、俺の意見は相手には聞こえないんだろ』

『誰がそう言った?』

鏡屋はすこしなめたようにそう言った。

『なんか方法はあるのか?』


俺はドンと机を叩き前のめりになった。鏡屋は近いと言わんばかりに、嫌な顔をした。

『えぇ、話すぐらいならできるわ』

『本当か?』

『本当よ。ただし、彼女が望めばだけど』


望めばか………と、がっくりしているのもつかの間、俺の思考は一発の銃声で止まり、そちらに視線を向けた。


そこには複数の覆面の男らがいた。



気がつけば、辺りは停電していた。


銃を持った男らが5人いる。全員覆面しており、スーツを着ている。そのリーダーだろうか、1人の男が話し始めた。


『やぁ諸君。いや災難だね。』

男はニヤリと笑いながら語った。

は?こいつは人質に同情しているのか?俺は『くそっ』っと呟いた。


男は携帯を耳に当てた。

ホールのスピーカーにノイズが走り、男の声が聞こえてきた。

おそらく外にもスピーカーがあるのだろう。


『警察の諸君、こんにちわ〜。我々シカバネ強盗団はこのホールを占拠した。人質もいる。つまりあんたらは手が出せない。んで、俺らの要求は…』

『1億だ』っと男は言った。


あまりに非現実的だったのでクスッと笑ってしまう。

すると、隣に居た黒パーカに短パンをまとったの鏡屋がニヤリと笑う。


『なんか、打開策思いついた?死なない兵士』

『いや、ってか死なない兵士?なんのことだ?』

『だってあんたは何があっても死なないのよ。まぁ気絶はするけどね』


なるほど、一週間不死身なのか俺。というか”死ねない”だと思ってたけど、”死なない”なんだな。


そんなことより、どうする。身代金は一億。確実に無理だ。そんな金用意できるわけない。

それに俺には何もない。


どっかのバトルマンガみたいに特殊な能力とかもない。強いていうなら”死なない”ということだろう。だがこの状況ではあまり意味がないだろう。


俺が突っ込んだって発砲されて終わる。それに死人が出るかもしれない。


そういや、鏡屋は死ぬのか?ふと疑問に思った。


『なぁ鏡屋。お前って死ぬのか?』

しばらくの沈黙の後、

『死にはするけど、殺されはしないわ。身体が半分になろうが、蜂の巣になろうが死なない』と冷静に言った。


コイツモ不死身ノ兵士


『つまりお前は殺すのは不可能だけど死ぬと?わけがわからん』

『寿命よ』

『寿命ねぇ…。何年ぐらいなんだ?』

『何年というか、私自身が忘れられた時だ。まぁいつ死ぬかはわからない』


忘れられる?何に?と考えていると俺の声が大きすぎたのか、強盗団のリーダーが俺の胸倉を掴んで持ち上げた。


『さっきからボソボソ、何話してんだボウズ』と低い声で静かに言われた。


そいつはまるで俺が独り言を言っている様な口ぶりでそういった。


『いや、そのトイレに行きたいなぁ。なんて。へへ』


次の瞬間。頬に強い刺激を受けた。

それはすぐさま痛みと変わった。

俺は床に倒れ込んだ。


『てめぇ。殺されてぇのか』

そう言うと銃口がこちらを向いた。


『いや、そうじゃないっていうか。というかあんたに俺は殺せない』


その時、目の前に影が通った。


目の前に人が出てきたのを理解するのに数秒用いた。そいつは右手にナイフ、左手にドンキの袋を持っていた。


その一秒後には血しぶきが上がり血液が飛んで来た。


どこの誰かは知らんがありがと。

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