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黒の天使   作者: 橘 藍華
7/10

思い出

第7話

俺と天使はカフェに来ていた。

幸いこの天使は羽とか生えていないので目立たずにすんだ。


『あなた忘れてないでしょうね。あと6日で終わる人生よ』

『あぁ忘れてないよ』


そう俺はあと6日で死ぬ。心臓麻痺で。これは天使との契約で決まっていたことだ。


『そう。ならいいわ』

『そんなことより、何故美沙は消えようとしているんだ?』


俺の彼女、葉山美沙は事故で死んだ。でも、俺と同じように、選択肢を与えられているのだ。


一つは一週間生き返れるというもの。二つ目は記憶と人生をリセットするというもの。最後はそのまま消える。


『さぁ。この世界にやり残したことが無いんじゃない』

『………』

『そう凹むな。可能性ならまだある』

『でも、俺の意見は相手には聞こえないんだろ』

『誰がそう言った?』



『あなたには、選んでもらいます。葉山美沙さん?』と私の前に立っている天使は言った。

『今から選択肢を三つ出すわ。自分の好きなものを一つ選びなさい』

私は深くうなずいた。


それから私に三つの選択肢が突きつけられた。


私ハ考エル。ソシテ………


『天使さん。選択肢とわ関係のない話なのですが。私のお話を聞いてもらえますか。すこし長くなってしまうのですが』

天使はうなずいた。


私には幼馴染の男の子がいて、そこ子はとっても泣き虫だった。小さい頃から一緒に遊んでいた。喧嘩だってしたし、仲直りもした。


それから私とその子は小学校に上がった。最初はお昼休みとかで一緒に遊んでいたの。でも2年生になった時、私はその子に拒絶されたの。その子は『女子と遊ぶなんて恥ずかしい』って言ったの。確かに私も女子と遊ぶことが多くなっていて、その時は何にも言い返せなかった。


私たちは四年生になった。その子はいじめられた。勉強ができて、他の子と趣味がすこしかけ離れている。それだけでいじめられた。


彼は耐えた。私も耐えた。耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて、耐え切った。


そして5年になった。いじめの対象が変わり、その子はいじめる側になってしまった。そうしないとまた嫌われてしまうから。


そうしていた彼は、ある日自殺しようとした。

私は止めた。必死になって止めた。いや、必死という言葉では表現できないほどだった。


彼は、自殺を諦めてくれた。その後、いじめる側に苦痛を感じながら、6年に上がり、中学に上がった。苦しみながら。


でも中学に上がって、彼は私と一緒にトラックにひかれてしまった。死んでしまったの。


おそらく彼はアリが潰されるように簡単に潰された。


私は思うの。あの時自殺を止めていなければって。こんなこと思っちゃダメだってことはわかってる。でも、そう思ってしまうのは事実なの。


私が語り終わる頃には、頬に水滴が垂れていた。

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