彼女
第6話
人生は物語じゃあない。展開がどうなるかなんてわからない。どう進んで行くかなんてわかんない。
全てがハッピーのシンデレラストーリーとは限らない。
挫折と後悔を繰り返すかもしれない。
決断を間違えるかもしれない。
でも、すぐには気づけない。後で思い出し、後悔する。
これも人生の一つなんじゃないか?
3年前のいじめられていた時の、俺の日記の一節だ。
まるで、今の俺に対して言っているのかと思ってしまった。
『そのまま消える、だと』
何故だ、何故その選択を?メリットがない。せめて1か2だ。
『彼女がそう考えてるのよ』
『なんで!』
感情的になり、強く言ってしまった。
幸い、カーテンで仕切られており、周りの患者さんの視線は感じないが、とても大きな声を出してしまった。
『知らないわよ。そんなこと。あの子じゃないんだし』
『あぁ、ごめん』
俺は自重した態度で言う。
『まぁいいわ。とりあえず外に行くわよ』
『え、でも俺退院でき………』
『るんだなーこれが』
俺のセリフに割り込んでくるようにそう言った。
『わかった。行こう』
俺は荷物をまとめ、看護婦さんに挨拶をして外に出た。
私は、私はどこにいるの?
彼女の視界には暗闇しかない。
彼女は思考を巡らせ考えたが、答えは出なかった。
『やぁ、お目覚め?』
耳元でそうささやかれる。
『えぇ、あなたは一体…』
彼女は頭を抱えながら聞いた。
『私は天使よ』
その声はどこか小悪魔めいた声だ。
私の知ってる天使はこんなんではない。もっとこう白いイメージがある。
対してこの女の子は黒い衣服をまとっている。かけ離れている。
そういえばここはどこ?それに私は事故で。
『あなたの言いたいことはだいたいわかるわ』と切り出し、自称天使はこう続けた。
『あなたは死にました。事故で』
『はぁ?』と私は、私らしからぬ声を出した。死んだとは、私が知っている死なのか。
訳ガワカラナイ。
『あなたには、選んでもらいます。葉山美沙さん?』