決断
第4話
人生において死について考えることはあまりないだろう。しかし、死に直面した人間はこう思うだろう。生きたいと。
それはとても愚かで悲しき考えだ。
これはそんな死に直面どころか、死んだ少年の世にも奇妙な物語である。
『天使決めた。俺は1番にする』
『ほう、本当にいいんですか?』
『あぁ、行かなければいけない気がするんだ』
確かにやり残したことはあった。それをやり遂げるまで死ぬわけにはいかない。まぁ死んだんだけどね。
『ひゅーひゅー。かっこいー。』と、天使は俺を煽り、最後の確認をしてきた。『いいだろう。ただし一週間経ったらその時点で終わり。あなたは意識を失ない、死ぬ。一応死因は心臓麻痺。そしてここへ帰ってくることはできない。それで良いですか?』
YES or NO 答エハ決マッテイル
『もちろん。ちょくらデートしてくるは』と俺は強気に口にした。
『ふん、リア充爆発しなさい』
なんでそういうこと言っちゃうの?めちゃくちゃいい空気だろ。
『まぁいいわ。いってらっしゃい』
『おう、行ってくる』
『あ、言い忘れていたけど、その一週間はどんなことをしても死ねないからね。注意だよ』
大丈夫だ死ぬことなんてあるわけがない。
ふわっと意識がぼんやりしていく。
身体に暖かい空気が触れる。
目が覚めたのは教室だった。1組である。
漢字の再試最中である。
記憶は失っていない俺。つまり答えがわかる俺。多分人類史上初のカンニング方だろう。
さっさと再試を受けて廊下へ出る。
俺はそそくさと昇降口へ向かうい、
横谷と合わず、靴を履き、校門を出た。
坂を下り、例の信号までつく。
信号には美咲がいた。おそらくこの時間ならまず安心だろう。
そして俺は美咲に話かけた。
『よっ』
『あ、一夏君』
信号が青に変わる。
『明日のことだけどさ』と話を切り出す。
美咲は『明日、ほんと楽しみ』っと言ってくる。そんなに楽しみなのか。
嫌ナ予感ガスル
案の定トラックが突っ込んできた。
一つの平和な交差点。時間が止まっているように平和な町のたった一つの交差点。そこには遺体が'一つ'あった。
辺りには赤い水たまりができていた。
第4話 終わり