選択肢
第3話
『あなたに選ばせてあげるわ』
『へ?』
何を言われているのか理解するのに少しの時間を使った。しかし理解が出来なかった。会話のなかに何も選択肢が出ていない。そりゃ裏声でるわ。
『何よ、シャア専用ザクみたいな顔して』
どんな顔だよ。自分で言うのもなんだが、ルックスはいい方だ。
『いや、選ぶって何をって思ってね』
と言うと自称天使は『こいつ馬鹿なの』と言わんばかりの顔をして、
『やり残したことは無い?』と言ってきた。
『やり残したことはある。だからってどうもならないだろ。だって俺し…って、俺は今どういう状況なんだ?』
忘れていたが俺は確かにトラックにひかれて死んだ。しかしこの状況は…
『あ、そうだったわね。あなたは事故で死んだの。で、ここへ来た。ようこそ、死んだ直後の決断の間へ』
決断?何ヲ?what?
『決断ってのは何を決断するんだ?』
死後での決断なんてなにがあるんだ?本当に世にも奇妙な物語だ。この天使、サングラスかけたら似合うかもな。
『オーケー。では今から選択肢を3つ出すわ。その中からお好きなものを一つ選なさい』
俺はごくりと唾を飲み込み頷く。
『1、あなたは一週間のみ生き返れる。これはやり残したことがある人には良い選択肢ね。』
なるほど、確かにやり残したことがあれば幽霊とかになりかねない。でも一週間経ったらどうなってしまうのやら。
『なぁ、一週間経ったらどうなるんだ?』
『もう1度死ぬ。しかしここにはもう来れないわ』
なるほど、と目で天使に伝える。
『続けるわね。2、記憶を消して人生そのものをやり直す。でもこれはあまりお勧めできないわね』
やり直す。そんなことできるのか。しかし人生をやり直したいと思うは物心ついてからだ。記憶が消されては意味がない。
『3、そのまま消える』
つまり召されるということだろう。ならこれは本当に死にますか。みたいなものだな。
『この3つだけど良いものはあった?
まぁ大抵の人は1を選ぶんだけど』
『質問なんだが、1はどの段階からスタートなんだ?』
『そうね死亡する1時間前ね。あなたで言うと学校で再試を受けている時間ね』
なんでそんなこと知ってやがる。
ちなみに俺は国語が弱いのではなく漢字に弱いのではない。
そんなことはいい、自分の中で答えは決まった。
『天使、決めた。俺は…