ファウズタウン
港から聞こえる活気ある声。
街を駆け巡る子供達。
賑わい溢れるそんな街、 ファウズタウンの路上で少年は--------
空腹で倒れていた。
そりゃそうだ。 金銭は一文もなく、 食料もない。
「あぁ……俺の人生、 色々あった。 短かったが楽しかったよ……」
ゆっくりと眼を閉じる。
「邪魔だよ」
「あ、 はい。 すいません……」
通行人から足蹴にされ、 すぐさま跳ね起きる。
「なんだ? オメーさん、 見ねー顔だな?」
通行人A、 もとい、 おじさんはデルタの顔をまじまじと見つめ、声をかける。
「えぇと、 俺、 隣町から旅してきたんですけど……金持ってくるの忘れて……」
かくかくしかじか……
「そりゃちょーどいい……。 オメーさん、 能力者だよな?」
「はい……」
「旨い話があるぞ?」
…………。
怪しすぎる。
「あっはっはっ!別に危ねぇ橋じゃあねぇよ。 ん? でも怪我はするなぁ」
「危ねぇじゃねぇかよ!?」
「話だけでも聞いてみるか?」
話だけなら聞いていて損は無いだろうか……。この街の事も知っておかないと色々不便だろう。
「は、話だけなら……」
----10分----
「のったっ!!!」
「おぉし!それでこそ漢だっ!」
そうして連れて行かれた先は、ファウズタウンの中心部に位置する円形の建物。
《ファウズコロシアムドーム》だった。
《ファウズコロシアム》。
----能力者限定のコロシアムで、一年に一度の大祭り。ファウズタウンと言ったらファウズコロシアムという程の定着と反響を呼んでいるらしい。
そして、このコロシアムで、 見事優勝したものには賞金として1,000,000ヴィリスが授与されると言う。
その賞金を求め、 毎年全国の猛者達がこの街に集まるという……。
『さぁっ!今年も始まりますファウズコロシアム!』
アナウンスらしき声がドーム外まで響き渡る。そのアナウンス合図に街が更に活気に満ち満ちる。
「おい、はよ応募しに行かないと締切っちまうぞ」
「おうっ!サンキューなおっさん!」
こうして、デルタはファウズコロシアムへと参加する事となった。