デルタの生命(いのち)
「えぇぇぇぇぇっ!!?」
それが、デルタが母親に今朝の話をした時の反応だった。
…………なにもそんなに驚かなくても。
「あ、 あんた……そんな能力を……?」
「え……あ、うん」
実を言うと、 もう既に母親の【発火】は構築してある。 朝ご飯を作る際に節約のため、 いつも能力を使用する。 そのため、 予めにコピーいていたのだ。
「ほら」
と、 デルタは掌を上に向け、 炎を出してみせる。
母親は驚きを隠せないままだ。
--------その時!?
轟。
その一言でしか表す事は不可能では無いかと思う程の轟音と共に、家が崩れる。
母親の悲鳴すらも掻き消す程の崩壊が二人を襲う。
「っ!!?」
状況を把握する事が出来ない。
いつもの様に母親と日常的な会話をしていただけなのだから。
----いや、一つ違う。
能力の判明だ。
そう理解していても身体が動かない。
恐らく何かの下敷きになったのだろう。
「…………かあ……さ…………ん」
どうしよう。
死にたく無い。
母さん……。
死なせたく無い。
いやだ。
「…………………………………」
誰かが会話をしている。
少し遠いのか、はっきりとは聞き取れない。だが、 確かに誰か居る。
「…………………コロセ」
「っ!?」
聞こえた。
「っあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
デルタは自分の上に被さっていた、 先程まで家だった木材を死に物狂いで自力で退かす。
くそっ!視える範囲が狭い!
痛みを覚え、 左手を左目に当てる。
そこには、 いつもの眼では無かった。
光を失った……。
光を感じる事は、 出来なくなっていた。