終戦 2
…………。
あれ?
この感覚は……。
「……デルタ、 落ち着いて聞いてくれ」
後方から突如聞こえたその声は、 紛れもなくアイズの声だった。
「……っアイズ!!」
そうか、 この現象は時間凍結だったのか。
「ボクたちは負けた。 今の内に、 少女と共に逃げろ……」
ホロウとの戦いで、 癒えない傷の痛みを押し殺しながら、 デルタに告げる『敗北』。
「…………な、 何言ってんだよ」
時間凍結により、 ホロウが凍結しているのも時間の問題だろう。 だが、
「何で……」
「分かってはいたさ……勝てないことなんて。 でも、 世界をやり直す為には……」
アイズは吐血する。
癒えない傷は、 徐々にアイズの体温を奪っていく。
「……っち、 やらかしたな。 まさかこんなにも早くやられるなんてな」
「……タタリ」
意識だけは確かにあったタタリだが、 グラム戦での片腕損傷は大きかった。
速攻で戦闘不能にまで追いやられてしまった。
「やはり、 主最神なだけはあるな……」
目は瞑ったまま、 ため息をつく。
「今から少女だけ能力を解く、その隙に逃げろ」
すると、 エルがまるで凍結から急速に元に戻ったかのように動き出した。
「--------ぁぁぁ……あ、あれ?」
時間凍結を初めて味わったエルは、 やはり現状の理解が出来ていない様だったので、 簡潔に出来事を伝える。
「……エル、 君はどうする?」
「…………そんなこと、 決まってます」
そのエルの眼は、 澄んでいた。
答えは聞くまでもない。
「……はは、 だよな。 兄さん、 ごめんな」
だから、 デルタも笑顔で兄さんに伝える。
「……逃げないよ」
「時間だ」
ホロウは、 まるでデルタ達の決断を待っていたかのように……いや、 実際に待っていたのかもしれない。
「……行くぞ、 ホロウ!!」
デルタは咆哮ににも似た雄叫びを上げ、 熱量調整を使用。そして、 視無効を使用する前に影法師を使用する事で、 強制的に対象の視界から逃れることが出来る。
「エル! 鎖で脚を地面とホールド!!」
「了解ですっ!とりゃあ!!」
エルの盗賊スキルの1つである鎖で対象を捕縛する特技で、 地面と脚を隣接する事で少しの間はホロウの身動きを封じる事が出来る。
その一瞬を逃さない為にも、 デルタは右手に持つ長めのナイフで自らの左腕を切り落とす。
そう、 自我殺傷だ。
自らで傷を付けることにより身体能力が向上する、 あのララバイの能力だ。
しかし、 傷口を塞いでおかねば出血多量で即死だ。
だからここで、 空遊の能力を応用し、 空気中の窒素を傷口を覆うように固定化させる。
「うおおおぉぉぉらっ!!」
「……っく」
背後からの一太刀に、 堪らず声を漏らす。
「……きい……てる……?」
行ける。
これなら……っ!




