特訓の成果
「人……なのか……?」
目の前に現れた人型の四人は、ユラリユラリと、確実に歩いて来ている。
頭部がないのに。
おかしい。
どう考えてもおかしい。
人間というものは頭部ナシでも生きて行ける生物だっけ?
…………んなワケあるかい!?
しかし、それは人間である場合のみに限る。能力でそういうモノがあるのかも知れないが……。
「お前ら……人間なの、か?」
「「…………」」
デルタの質問には一切の返答は無かった。
その時、
「…………っ!?」
突如その四体はデルタの元へ駆け出し始めた。
デルタはすかさず木刀を構え、戦闘態勢に入る。脚に力を込め、正面へと突っ込みに行く。
一番近くの敵へと木刀で一太刀浴びせ、後方へと力尽くで吹っ飛ばす。すると、後列にいたもう一人へと激突し、巻き込みながら倒れる。
「よし、……イケる!!」
振り切った態勢をすぐに立ち直し、次の攻撃に備えようと整える。
が、
間に合わなかった。
別の敵の攻撃速度の方が速かった。振り切った態勢なので、正面がガラ空きだった。そこにノーガードで敵のストレートをモロに受けてしまう。
「…………っぐ!?」
少し後方へと下がってしまったが、耐えられない威力ではない。むしろ好都合だ。
こんなにも近くに敵がいるのだから……。
一気に木刀を敵の胸部に振りかぶり、破壊する。そして、そのままの流れで後方の最後の一人を突く。
「……はぁ、……はぁ、……はぁ」
倒せ……た。
やはり、欠かさずにしていた特訓の成果だろう。
「しっかし、こいつらなんだったんだぁ?こんな魔物ここら辺には生息しねぇし……」
この世界には、【魔物】と呼ばれる生物が存在する。その名の通り、主に動物の形が多いが、今の奴らはそのまんま頭のない人そのもの。
人型の魔物は存在しない。
ゴブリンなども二足歩行ではあるものの、禍々しい角が生えていたりするものだ。
まあ、その角が生える頭が無かったのだが……。
「流石だ」
「っ!?」
その声は、デルタのすぐ傍で呟かれた。
まだ……居たっ!?
「落ち着け、オレは【十二神】の一人、ガルロウアだ。デルタ、お前の能力を教えてやろうか?」
「いいのか!?」
遂に、待ちに待った自分の能力が聞ける。
「あぁ、先程の敵はオレが生み出した魔物だ。お前の力を見極めようとしただけだ。」
道理で見たことのない魔物だったワケだ。
「それで、俺は合格ってとこか?」
ガルロウアは頷く。
「お前の能力は【再構築】だ」
「リザ……レクション……」
初めて知る自分の能力の名に、感動さえ覚えた。
「そ、それで、……どんな能力なんだ?」
「再構築は、【一度見たもの全ての習得】だ。そして、発動条件は…………」