紅蓮の愚連
朱眼のホムラの能力、 『影法師』は、 視界内の対象の光を屈折させる能力。
「それなら、 俺も似たもん持ってんぜ?」
そう言って、 視無効を使用する。
このホムラの能力、 影法師は構築出来ないだろう。
再構築の発動条件は『視る』事。だが、 光を屈折させることにより、 視界を歪め、 自分の存在を隠す。
--------つまり、 視えていない。
空遊を使用し、 音を無くして一気にホムラとの距離を詰め、 襲撃波動で攻撃をする。
----つもりだったのだが、襲撃波動を放った方向は、 既に影法師による幻想だった。
「っち!」
知らず知らずに舌打ちをするが、すぐさま距離を置く。
視無効により、 確かにホムラの視界からは逃れ、 認識出来ていない筈なのだが、 既に影法師を発動していた。
抜かりないようだ。
…………どこだ。
互いの姿が認識されていない今、 攻撃の仕様が……
「----エルっ!」
デルタは、 背筋を駆け巡る怖気に反応して、 瞬時にエルの元へと掛ける。
エルはデルタが視無効を発動する時に視界から姿を外さなかったので、 対象外となり、 しっかりと認識出来ている状態だ。
「空遊で空中に逃げてろ!」
「え、 は、 はいっ!」
何も無い空虚な空気を足場にし、 空を掛ける。
……よし、 これでホムラの攻撃は当たらない。
--------と。
「……っぐあ!?」
不意に腹部に現れた激痛。
そう、 それは誰かに殴られたような。
「……っかは……。 っ畜生!」
ホムラはまるで、 デルタが見えているかの様に、 的確に腹部を狙っての打撃だった。
そして、 有無を言わさず2度目の襲撃。
次は背後からの蹴りだった。
「っが!?」
……どうして、 姿が見えていない現状下の中でも的確に攻撃が出来ているのか、 全く分からなかった……。
「ふん、 どうせ何故に自分の攻撃は当たらないのかなどとくだらん事を考えているだろう」
図星だ。
「簡単だ……俺にはお前との絶対的な差がある」
……絶対的な……差。
「強者は常に勝利し続けるものであり、 敗者は常に敗北し続けるものだ」
頭部。
腹部。
脇腹。
見えていない筈の敵からの攻撃は、 避けることも出来ない。
「……っが! ……かはっ!……っぐ!」
「デルタァアァ!」
エルは、 空中から声を掛ける。
「……くる…………な……!」
「……ふん。 期待していた分、 損した気分だな」
存在だけを感じる敵の声。
「……終わりだ、 少年」




