神の遣い
「……ガルロウアは、 存在しない…………?」
エルから伝えられた真実を未だに鵜呑みに出来ず、 悶々とした感情がデルタの脳内を彷徨っていた。
「じゃあ、 一体ガルロウアは何者なんだ……?」
「人々の能力は、 神しか知らない事ですし……神なんでしょうけど、 聞いたことないです」
エルが知らないだけど言うのも考えられる……しかし、 自分の主神により能力が決まるこの世界では、 生まない神はいない。
エルの主神は『自然神』らしく、 自然系統の能力、 空遊となる。
そこで、 デルタは一つの疑問を覚えた。
「あれ? んじゃあ俺の主神は?」
デルタの主神は、 なんなのか、 だ。
再構築という、 チート能力を持つデルタの主神、 デルタが推測するのが、 『魔法神』か……そんな当たりだろうか……。
「……自分の主神なら--------」
「……またか」
瞬時に眼が鋭くなるデルタ。
「出てこいよ、 居るのは分かってんだ」
未だに現状が理解出来ずに、 頭に『?』を浮かべているエルに、 腰に手を回して少し自分の方へと引き寄せる。
「……っんな!? にゃにぅお!?」
不意のデルタの行動におどおどし、 呂律が回りきれていない。
すると、 突如『ぐにゃり』と視界の一部が歪み出す……。
それは正に陽炎の如く。
「……ふん。 よく分かったな、 少年」
紅いローブに身を包み、 耳には十字架を象ったアクセをぶら下げている紅髪朱眼の青年は、 自分の存在を看破したデルタに向け、 そう言い放った。
「俺の能力、 『影法師』を見破るとは 、 なかなかの実力者か。 やはりギル様が司令を出すだけの事はあるようだ……少しは期待しても良さそうだな」
ギル様。
恐らく、 この紅のローブの男を動かしている長だろう。
「……朱眼のホムラ」
エルは、 ギュッとデルタの服を掴む手の力が無意識に強まる。
その生物的行動は、 如何に目の前の敵が強敵なのかを表していた。
「知ってるのか?」
「……えぇ、 機嫌が悪い時は森すらも3分で焼き尽くす程の強力な炎系統の能力保持者です」
3分で森すらも焼き尽くすって……
どこぞの魔王だよ。
「それで? そんな猛者が俺なんかに何のようだよ……また、 街のルールって奴か?」
挑発するような口振りであるが、 警戒を怠っている訳ではない。しっかりと目の前の敵、 ホムラを見据えている。
「ふん。 ただ、 死んでもらうだけさ」




