最悪の災厄
『ザザンダ』と言う、 謎の人物。
その人、 その男のことは、 この世界で誰よりも……知ってしまった。
否が応でも知ってしまった。
そんな不幸な人間はこそが、 『盗賊』と言う職に付いてしまった少女、 エルだった。
彼女がまだ、 真っ当に生きていた時期。
悪魔のようなそいつと、出会った。
会ってしまった。
そいつの口癖は、
『会う前に殺せ。触れる前に殺せ。思う前に殺せ。』
とにかくそう言っていた。
人々は、 そんな彼の事を『殺したがり』と呼んでいた。
そんな時、 噂を聞きつけエルは出会った。
興味深々であり、 好奇心旺盛なエルは……関わったのだった。
当時のザザンダの行っていた事は、 詐欺。
高貴な家庭から大金を騙し取っていた。
そして、 バレては殺し。
身の危険を感じると殺し。
殺し。
殺し。
殺し。
それは、 エルが思っていた世界とは違った。
暗く、 醜く、 儚く、 厳しく、 脆く、 危うく。
--------怖い。
そんな世界だった。
勿論直ぐに脱退しようと試みた。
しかし、 そんなエルに世界は牙を剥いた。
条件として、 『全て』を引き渡す事が条件となったエルは、 逃げた。
出来るだけの引渡しは行った。
金。
友。
家族。
渡した。
だが、 ザザンダは認めてはくれなかった。
脱退を許してはくれなかった。
『他には何が』と懇願したエルに彼は……一言言い放った。
『……お前だ。』
彼は初めから脱退なぞさせる気は毛頭無かった。
それからエルは、 何も信じなくなった。
Δ
「…………エル」
辛そうな顔をしながらも、 ザザンダと言う男の事を教えてくれた。
「……そんな奴が、 何故俺を」
「…………そんなの、 決まってますよ。 デルタの能力、 再構築ですよ」
デルタの能力、 再構築。
その時、 再構築を知った時、 ガルロウアが自分に言い放った言葉を思い出した。
『……今からお前は強敵共の標的となる、 病的なまでにな』
そうか。
「……ガルロウアが言っていた事はこの事か」
「……ガルロウア? 誰ですか……それ?」
「ガルロウアは、 俺に能力を教えてくれた【十二神】だ」
しかし、 エルは小首を傾げたままだった。
「【十二神】……? ガルロウアなんて神は、 十二神にはいないですよ? そもそもガルロウアなんて神は居ないハズです……」
「…………ありゃ?」




