この街のルール
キラリと光る剣を前にしても、 デルタは一切 怯むことはなった。
その行動が使命かのように、 当たり前のように、 相手の腕を掴んでいた。
「……俺の仲間だ。手を出したら容赦しねぇぞ」
「…………っく、 は、 はは、 デカイ口を叩いていられるのも今の内だけだぞ?」
確実に相手に影響はでている。
先程までゴツゴツとしていた腕は、 震えている。
「……お、オレらはグラム教徒だぞ ……!?」
「……だから何だ……?」
デルタは今までで1番の怒りに奥歯を噛み締め、自然と拳に入れていた力が更に強くなる。
「俺の仲間に手ぇ出したら、 何が何でも許さねぇからな……」
「そこまで言うなら……一体一で勝負だ」
デルタから捉えられていた腕を力任せに振り払い、 煌びやかにも神々しい剣を構える。
勿論、 デルタは剣技など何も身につけていない。嗜み程度の能力だけだ。
しかし、 今のデルタは能力者。
更に、 構築出来る能力に、自由剣技がある。
「……この街のルールとやら、 教えて貰おうかな」
自然とデルタの眼が細くなり、 鋭くなる。
既に能力を発動し、 右手の指全てが刃と化しているデルタを見て、 オッサンが声を漏らす。
「…………能力者、 か」
「よし………………行くぞ!」
Δ
「マジすいませんでした」
グラム教徒の、 オッサン達はデルタとエルに向かって土下座を行っていた。
完膚なきまでにぶちのめされたオッサン達の懇願を聞き入れ、 問う。
「誰からの命令だ?」
恐らく、 このオッサン達には上がいる。
初めからデルタを狙った行動だとするならば、 もっと下調べしていてもいい筈だ。
「……えぇ、 と」
オッサン達は互いの顔を覗いている。
「……誰からの命令だ?」
更なる圧を込め、 再度問う。
「……へぇ、 ……『ザザンダ』って言うやつです」
「……ザザ……ンダ」
その消え入るような震えた声は、 デルタの後方で待機していたエルからだった。
「知ってるのか?」
「…………」
その時のエルの顔は、 とても辛そうだった。




