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再構築 リザレクション  作者: 十卡一
22/41

エルという名の盗賊

「にししっ」

少女は快活に笑った。

金髪金眼きんぱつきんがんの少女は、 自慢のショートカットを風になびかせながら、 家の屋根を飛び回っていた。

「やったねぇ……まさかあんな簡単に成功しちゃうなんて……」

そう言いながら取り出したのは、 紛れることなくデルタの財布だった。

「さってと--------」

「----るぁぁぁぁあ!! まてぇぇいっ!!」

少女は自然的に声のする方、 つまりは後方に目を向けると、 そこにはデルタの姿が。

「……マジですか」

デルタは能力を駆使して追いかけてきていた。

熱量調整ヒートで身体能力を向上させ、 壁吸盤トリッピーで壁を走り抜けながら追いかけてきていた。

「俺の財布!!」

「分かりました分かりました!」

エルは見晴らしのいい、 ファウズタウンの中心部に値する場所の大広間で、 観念したのか止まる。

「勝負しましょうか……。アナタが勝てばこの財布はお返しします。アタシが勝てば、 全てを置いていって貰います」

「……っく、 良いだろう。だが、 条件を増やす。俺が勝てばお前の全てを貰う」

「……っな!?」

再び自分の身体を抱き抱えるエル。

「ちげぇよ!? 俺の仲間にならねぇか……って意味だよ!」

エルには目の前の少年、 デルタが何を言っているのかが理解出来なかった……。

自分の金銭をパチられた奴を、 勧誘している……?

「……アナタ、 自分が何を言っているのか分かっているんですか……?」


エルは、 人を信用しない。

人は平気で裏切る。

裏切る事を生き甲斐としているかのように……。

そんな種族、 大ッ嫌いだ。

エルは昔、 しっかりと生きていた。

盗賊何かではなく、 真っ当に生きていた。

だが、 裏切られた。

自分は信じていたのに……。

エルは学んだ。

『自分が信じている相手だからと、 相手が裏切らないとは限らない』と。

それが人間であり、 最も嫌悪する種族。


「……分かっているさ。 自分の物を取って行く盗賊の可愛い女の子が前にいて、 俺は何も出来ない男じゃあない」

「……そこまで分かっていて、 一体何を思って言ったんですか?」

エルは、 デルタが分からない。

こんな人間は初めてだ……。

「……エル、 哀しそうな眼ぇしてんだよ」

「……っ!?」

見抜かれていた……!?

自分の感情を……。

「……何か昔にあったんだろうけどよ……顔上げて見てみろよ。 結構、 世界って広いんだぜ?」

観ていた。

デルタの試合。

傷だらけでボロボロになりながらも立ち上がり、 立ち向かっていた。

それでもまた倒され、 しかしまた立ち上がる。



そうか。

初めから、 自分はこの少年の何かに惹かれていたのかも知れない。

まだ感じていないモノを教えてくれるかも……と。

もう一度…………人を信用してみよう……と。


「……じゃあ、 教えて下さい」

だから、 エルも笑った。

「あぁ!」


これにて、 仲間が増えました。

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