本当の戦い
「そう言えば、 君はさっき互角の身体能力だと言ったね?」
言った。
「本当にその通りかな?」
違った。
「君はまだまだ若い……そして、 今の君は壊し甲斐がない……」
「…………っごほ!」
何度目かも分からない吐血。
「……はぁ、 つまらないなぁ」
「しんさいーん……僕は棄権するよ……」
『…………え、 えぇ……わ、 分かりました……』
どさり、 とデルタは会場に倒れ込む。
ボロボロの身体で、 今やララバイよりも傷を負っていた。
更に言うと、 ララバイはデルタの攻撃を1度も受けずにデルタを倒した。
本物の戦士、 本物の壊し屋。
全く…………歯が立たなかった……。
--------強すぎた。
目的を失い、 文字通り戦意喪失して辞退したララバイは、 そのままフラフラと会場を気怠そうに出ていった……。
だんだんと意識を失い……暗闇だけが視界になる。
----緊急治療集中室。
「……………………」
「おや? 目を覚ました見たいだね」
デルタが言葉を発する前に、 気配を察したのか言葉を掛けてきたのは、 タタリだった。
「まさかあの傷で生きているなんてね?」
「……いったろ? ゴキブリ並みの生命力だって」
強がっているが、 とてつもなく身体の隅々までが傷んでいる。
「ははは、 まぁ、 前回の試合で君は出場停止だよ。 まぁ、 コロシアムから手術費位は出るんじゃ無いかな?」
死人が出るコロシアムから手術費て……
「……そっか、 終わりか。んで、 誰が優勝だ?」
「何を言っているのさ……」
嘆息を付きやがった。
「君たち両方が上がってこなかったからシードが何もしないで優勝だよ……折角のコロシアムだって言うのにね……」
そして再び嘆息。
心底戦いたかったのだろう……。
「……それじゃあ、 ボクはこれで」
椅子から立ち上がり、 スッと手を挙げ部屋から出ていった。
「…………負けちまったなぁ」
タタリと会話する為に起こしていた身体を再びベットへと倒し、 安らぐ。
ララバイ。
あの青年の能力は構築しているが、 正直使えない。
自分で自分をあそこまで傷付けるのは不可能に近い行動だろうと思う。
人間誰しも自分が大事だろう。
それをやって退けることのできる人間はそういない。
自我殺傷。
この能力だからこそララバイはあそこまで強い。
自我殺傷を他の能力者が持っても使うことは出来ないだろうから……。
「世界って……広い……」
「ララバイに勝ちたい」
「タタリをぎゃふんと言わせたい」
「……よしっ! 俺、 これからもっと強くなる」
そして、 いつかまた、 ララバイと……
もう一度。




