能力が判明したんだが……
『おい、一体どうなっているんだっ!』
雲に覆われたこの場所は天界。
世界中を支配している【十二神】と、呼ばれる神々の会議場所である。一般の人間は愚か、動物すらも入ることは出来ないこの場所は、十二神のみの空間となる。
そして、先程声を荒げた神は《ギルドゥ》。
十二神の中では最年少に当たる神だ。主に炎系統の能力を持っている。おかげで怒鳴るたびにこの空間の温度が上昇している。
『落ち着きなさい、ギル』
激昂しているギルドゥを宥める神の名は《アラズ》。主に氷系統の能力を持っている。
『これが落ち着いていられるものかっ! これだから俺は反対したんだ……っ!』
ダン!と、大きく地団駄を踏むギルドゥ。今や陽炎さえも現れ出している程に空間温度は高まっている。
この空間温度は、今のギルドゥがどれ程までに焦っているのかを物語っている。
『兄さん! これは最早兄さんだけの責任だぞ!』
鋭い目つきで睨むその視線の先には、一際輝かしい神が一人。
十二神のリーダー、《ホロウ》だ。
『兄さんが気まぐれで産んだあの少年! 能力が半端じゃねぇっ!』
そんなギルドゥの叫びをホロウは一言で片付けた。
『……………………ふん』
ホロウが眺める水晶玉には、今や十八歳になったあの時の少年が映し出されていた。
『………………【再構築】(リザレクション)、か』
ホロウの口から漏れ出たその能力こそが、異端児で産まれてきた少年、デルタの能力だった。