デルタvsシシル
「や……ヤバイ」
「何を言っているの……? まだ始まったばかりでしょう……?」
現在デルタは、 眼帯少女のシシルと対戦している。
のだが……。
「んな事言われても…………」
再構築の能力発動の条件は、 右眼のみで視ること。 だから視る事さえ出来れば能力を構築出来るという事だ。
そう……。
視る事が条件となっている能力。
そこでシシルが打った作戦。
「……こんな真っ暗じゃ視る事も出来ねぇじゃねえかよ!?」
バトル会場全体が、 夜の如く暗闇に包まれた中でデルタは叫ぶ。
シシルの能力が判明していない今、 どんな能力なのかも、 発動条件も、 何も分からない。
「っいて!?」
背後からパンチを喰らう。
ダメージ数値はほぼゼロに近いレベルだ。
だが、 イライラする。
「くそぅ!!」
乱暴に腕を振るが、 ヒットアンドアウェイのスタイルを使用し、 既に離れている。
打撃がしょぼい事から打撃手段のある能力では無いようだ。
考えろ……。
シシルは能力を使う前、 何をしていた……?
シシルからの攻撃を避ける為、 走り回りながらも思考を活性化させる。
開始の合図がなった瞬間に、 俺は熱量調整を使い、 身体能力を向上させた。 そして一気に方を付ける為に指を鳴らして、 衝撃波をシシルへと飛ばした。が、 瞬時にしゃがみ込み、 衝撃波を躱しながら前進して来た。
堪らず俺は瞬きしたら…………。
瞬き?
デルタは袖で目を擦る。
「おーい……シシル。 ……アンタの能力、 分かったぜ?」
動きを停めて耳を澄ますと、 進行方向から固唾を呑む音が聴こえる。
「お前の能力は、 時間操作系統か固定化系統だ」
「…………私が教えると思う?」
そりゃ答えんだろうよ。
「まずこの『暗闇』現象。 俺だけだな?」
「……っ」
当たりだ。
「俺は今まで会場全体が暗闇に包まれていると思っていたが……。ただ俺は目を閉じているだけ」
目を擦った時に気がついた。
人間、 自分の目に何かが近付くと反射的に瞑ってしまうものだ。 しかし俺は何もしなかった。 そもそも瞑っているのならば閉じる必要はないから。
「よって俺に使っている能力は瞼のみの時間を止める時間操作系統、 もしくは瞼のみを固定させる固定化系統の二つだ」
「……まぁ、 仮にそのどちらかだったとして……貴方に勝てる見込みはあるの?」
「ある」
デルタは断言した。
自分には勝てる自信がある、 と。
「そのセリフ、 そのままそっくりアンタに返してやるよ。 そんな貧弱パンチじゃ俺は倒れねぇ……」
「……………………(プルプル)」
ふははっ!どうだこの俺のカンペキ過ぎる作戦!相手のヤル気を奪ってしまえば棄権させる事だって出来る。
「……………………………………な」
「え?」
ぼそぼそとシシルが何かを呟いていた。
「…………………………って言うな」
「なんて?」
「貧乳って言うなぁぁぁあぁぁぁ!!!?」
「………………え?」
「何でそんなこというのよっ! わたしだってなりたくてひ、 ひん、 貧乳になったんじゃないわよ!!」
「誰も貧乳何ていってねぇ!?」
「うるさぁぁーいっ!」
ボコ。
「って! さっさと能力解けよ!! 見えねぇだろ!」
貧弱な打撃を喰らいながらも能力解除を求むのだが、 それは一切聞こえていない。
…………誰か助けて下さい……。




