ファウズコロシアム 3
ファウズコロシアム。
それは、 自分の能力に自信がある猛者達が集い、 力比べをするコロシアムだ。 皆能力を使うので、 怪我を承知で参加する。 やはり、 それ程までに参加する価値があるコロシアムでもあり、 賞金もデカイ。
ルールは簡単だ。
出場希望者は、開始の合図と共に、 一斉にサバイバルを行う。
そして、10人まで残った時点で一次終了。二次試合へと移行される。
二次試合は、 トーナメントマッチとなっており、 開始される。
そのトーナメントで優勝した者が、 文字通り優勝者となる。
なので、 デルタの考えた《逃げ》戦法でも、 残れば二次試合の参加権は大いにある。
だから、 大半の参加者は、サバイバル戦での能力使用は出来るだけ抑え、 次のトーナメントの為に手の内を明かさないようにしていたのだ。
Δ
「……はぁ、 ……はぁ、 ……」
サバイバル戦開始から一時間、 【インビジブル】を使用したまま逃げ惑っているデルタだが、 能力を持続的に使用することがこんなにもキツいとは知らなかった。
そりゃそうだ。
今まで能力の事を何も知らなかった少年だ。
能力を使用する際に掛かる負荷がどれ程のものかなど知る由も無かったのだから。
今、 サバイバルフロア内に残っている参加者の人数はデルタを合わせて15人……。
残り5人で二次試合だ。
『さぁぁっ!残り14人となりましたぁ!この中から一体誰が二次試合への切符を手に入れるのかっ!』
…………そうか、【インビジブル】で俺の姿は見えてねぇのか……。
「オラァァァァ!」
筋骨隆々のスキンヘッドが、一番近くにいた眼帯の少女、 シシルへと駆ける。
『おぉっと!ガガは眼帯少女に眼を付けたぁ!』
「…………」
シシルは眼帯を抑え、 ガガと呼ばれたスキンヘッドの猛烈なラッシュを躱す。
「す、 すごい…………」
ガガの方が弱いなんて事はない。 あの動きは確実に場数を踏んだ人間の動きだ。しかしそれを全て最少の動きで紙一重で躱している。
彼女は強い。
「くそっ…………っふん!」
ラッシュを諦め、丸太の様に太い両腕で掴みに掛かるも、 ふわりと宙を舞い華麗に躱す。
「チクショウっ! なんで攻撃があたんねぇんだ!」
「----教えてあげるよ」
そいつはぬるっと現れた。
黒髪で細身の青年、 ララバイ。 右手には短刀を手にしていた。
そして、 そいつをなんの躊躇もなくガガの腹部へと突き刺した。
「確実に相手に致命傷を与えるには急所を突くのがポイントさ……」
ララバイは、 そのまま突き刺した刃を身体の中でグリグリと搔き回す。
「がぁぁぁぁぁ!!?」
ガガが激痛に悲鳴を上げる。
「ねぇ? 痛いでしょ? これが相手に致命傷を与える方法だよ……」
「くっ……ギ、ギんむっ!?」
このコロシアムには、 《ギブアップ》があり、 怪我や死にそうな場合に口に出すことで、 棄権することが出来る。
だが、 ララバイはそのガガの口を空いている左手で塞ぎ、 台詞を絶った。
「何言おうとしてるのぉ?……そんなこと……させないよ?」
「んーーーーっ!?」
力尽くで外そうとするもののビクともしない様だ。
……あの細身の何処にそんな力があると言うのか分からないが、 ガガにはどうする事も出来ない。
腹部へと突き刺した短刀をそのまま振り斬る。
『あぁぁっ!? なんとガガ選手、死んでしまったぁ! 』
このコロシアムでは、 法律が通用しないらしい。 だから、 殺し目的で参加するものもいると思っていたが、 やはりいた。
腹部を掻き切られたガガは、 音もなく崩れてしまった……。
『おぉっと! 別の所からも死人だっ!!』
アナウンスの声に反応し、 すかさず辺りを見渡すも、 残りの人数はデルタを合わせて11人にも減っていた。
『き、キマッタァァァっ!!現在残っている参加者が二次試合への切符を手にしまし----』
「----まだだよ」
葵眼の少年、 タタリがアナウンスを遮り、 一番近くの青年に近づき----
「--------え? 」
手刀で首を落とした。
「これで10人だ……。 だろ?」
タタリは、 デルタをしっかり見据え語った。
「気づいて……いた?」
デルタは【インビジブル】を解く。
『な、なんとぉ!?姿を隠していた少年!これで10人揃いましたぁ!!』
確かに【インビジブル】は発動していたハズだ。 でなければアナウンスが10人なんて言う訳がない。
しかも、デルタは視ていた。なのに何も構築されていない。
つまりは『能力なし』でデルタの【インビジブル】を見抜いていた。
何者だ…………?




