第4章 つかみはOK?
約1年半以上もの期間が開いての更新ですね。反省しています;
これから頑張れるだけ頑張りますので、どうか暖かい目でよろしくお願いします!
2年2組。下駄箱の横側にはそう貼り紙が貼ってあった。
どこの高校も、入り口はそう大して変わらないな。
扉を開け、靴を入れる。すると、何かがひらひらと落ちていく。
拾い上げてみると、“籾山 飛鳥さま”と書いてある。
「あぁ…。ここの下駄箱、もともとは籾山 飛鳥という人のだったんです。でも2年になるとすぐに中退してしまって……。とても人気があるので、ラブレターが毎日絶えなかったそうですよ」
「そうなんだ……」
2年にあがって中退とは珍しい。留年が決まって中退なら珍しくもなんともないけど。
「すごく綺麗で、可愛らしくて、頭も良くて。気さくで明るくて、ちょっとおっちょこちょいだけど、良いとこあげればキリがないくらいの人なんですけど。急なことでみんな寂しく思っています。誰一人中退の理由は知らないようで…」
「………」
俺には全然わからない話だけど、この人の像はうかがえた。
「ところでこの手紙どうしようか」
「では私が預かっておきます」
委員長は俺から手紙を受け取り、大事そうにポケットにしまった。
「教室は3階です。行きましょう」
「うん」
「緊張しますか? やっぱりこういうのは」
「まぁね。でも君と話せて気が楽になったよ。やっていけそうな気がする」
「それは良かったです。あなたなら、すぐに打ち解けるでしょう」
目の前にはついに教室の扉が。とうとうやってきた。この時が。
1度深呼吸。気持ちを落ち着かせ、呼吸が整ったらすぐに開ける!
ガラガラガラ!
『…………』
教室のいたるところから俺への視線が痛い。
お、重い……。なんだこの空気は。
異常を読み取った担任の先生がようやく助け舟を出してくれた。
「あー待ってたよ。じゃあ早速さっき話した転校生を紹介する」
「石河翼です」
先生に促されるよりも先に、自分から名乗る。これ極意。
「石河君はとても面白くて、いい人ですよ~」
委員長がそう笑いながら言って席に戻っていく。
うっは……ハードル上がったよ。
「まぁ時間も時間だから、今は授業を始めよう。仲良くするようにな。席は……ひとまず月島の隣でいいだろう。教科書見せてやれ」
「はい」
てきぱきと物事が進んでいく。あれ、これで終わりでいいのか? 俺名乗っただけだぞ。
周りの人たちだって落ち着きがない感じだ。
「担任の長谷川先生。教科は英語。だから今は英語の授業です」
小声で委員長がそう教えてくれた。
俺は内心慌てつつも、先生は授業を始め、周りも勉強モードに入っているから、とりあえずは俺もノートを広げ耳を傾ける。
こんなんでやっていけるのか、もの凄く不安だ。
その不安も、昼休みになるとすぐに解消された。なぜなら今俺の周りには、
「んで俺はサッカー部。楽しいぜ」
「俺軽音部。ドラムやってるぜ。こうダンダンダンって」
「石河君いないの? いたでしょ地元じゃあ!」
……俺はクラスの人たちに囲まれ質問攻めを受けているからだ。
にして、普通はこうはならないだろう。この学校に転校してきたからこその現象だ。
「……ようやく、またあの時のようになれんのかな。なぁツバサ?」
「あぁ……きっとなれるさ、ユウ」
ちょっと前までは名前も忘れてしまっていた古き友。部田 裕の存在で。
英語の授業が終わった後の休み時間。
「あの……さ」
何の前触れもなく、俺の目の前に一人の男がやってきた。
「ツバサ……ツバサ、だよな? 俺だよ俺、わかるだろう?」
始めはピンとこなかったが、男の目を見続けているうちに、徐々に昔の記憶が蘇ってきた。
俺が一番好きだった頃のこと。その時にいつも俺の隣にいたのは、確かにこの男の目の主だった。
つまり、こういうことだ。
「ユウ……ユウなんだな?!」
「おうよ! ユウ様だぜぃ!」
ガシッ!
ユウは俺に抱きついてきた。
周りは異様な目で俺たちを見ている。でも気にしない。
だって、6年ぶりの再会だぜ?
「ツバサーーツバサーー」
「ブターーブターー。部田だからブターー」
ガシバシブシッ!!
迅速なパンチを喰らった。
「いやいや、これでこそ……ブタだな」
「だからそう呼ぶなって! こっち来てから一度も呼ばれてないんだぞ!」
「よっしゃこの俺が広めてやるよ! ブターブター!」
「てんめ、転校1日から調子乗るとはいい度胸だな。喰らえーー!!」
俺は自分に置かれた状況も忘れ、騒ぎに騒いだ。
あまりの騒々しさに、自然とギャラリーが集まって、今に至るということだ。
これから学校生活が始まります。
自然と筆が進みやすく……なってくれればいいのですが;ww