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第2章 新しい家

 その家は、新築特有の木のにおいがした。

 聞いての通り、とても綺麗な家であった。まさか……本当にタダで住めるのか……ここ?


「お父さんの仕事の人たちが用意してくれたのよ、この家」

 本当にまさかのようだ…。俺の父親、恐るべし…!


「全く……この家残してさっさと出て行ってくれないかしら、あのダボ野郎…」

 実はうちの夫婦仲は最悪だったりもする……。



 外見だけでもかなりの高級感漂う感じがする。

 …………さて、中に上がってみるか…。



 ……やけに部屋数が多い。しかも無駄に部屋が広い。

 前まで住んでいた家とはエラい違いだ。自分の部屋なんかなかったし、居場所は家族全員が使うリビングしかなかった。寝室は辛うじて一人部屋だが、狭くてとても自分の部屋にはできなかった。


「翼は2階の右側の部屋を使いなさい。一番広いから」

 おぉ、マジか。マジで自分専用の部屋が手に入るのか。転勤バンザイ!


「でも1階はリビングと浴槽と台所以外は全部お父さんの仕事部屋になるから、入っちゃだめよ?」

 はいはい。……ってかこんだけの部屋数が全部仕事部屋になるって……俺の父親はそんな大変そうな仕事に就いてたっけな? もしかして、どっかの会社の部長ぐらいまで昇進してるのか?

 ……でも実はどん仕事やってるかなんて知らない。興味はあるが、別にそこまで知りたいわけでもない。


「部屋割りはこっちで済ますから、翼はさっさと荷物を置いて学校に行きなさい」

 

 母親は俺にそういい、学校までの地図を渡した。

 しかし、良く見ると……これ、2万5千分の1の地図じゃないか…。

 クソ……ちょっと細かすぎるではないか……。

 



 時刻は9時40分。10時には学校に着かないとまずい。

 でも学校は徒歩10分もかからない場所にあるので、案外余裕だ。



 学校までの道筋はほとんど1本道であるため、この見にくい地図を使うことなく歩を進められる。

 早くこの街に慣れるためにも、地図に頼るのは良くないしな。


 今は10時前なので、車もあまり走っておらず、歩行者もいなければ自転車もない。やはり転校生の身であるから、あまり人とはすれ違いたくない。もしも普通に8時半登校なんかしてたら、同じ制服を着ているやつらから嫌な視線が飛んで来るに違いない。そのぐらいなら、今一人で学校に向かって、一人で職員室まで行って、先生に連れられて教室に入ったほうがマシだ。


 現に今俺は、俺の理想どおりの転校に事が進んでいる。

 ……さぁ、今日から通う学校が見えてきたぞ…。

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