蛇足その三、『女子高生を働かせようと画策する男達の密談』
「――こういう場合、次回は試食コーナーを巡る、みたいな計画を立てた方が良いのかな?」
翌日、ボクはとりあえず友人に相談してみることにしました。
ええ、会長のことですよ。他に相談できる友達なんてボクにはいません。
春サンに相談すると後が怖いし、バカ縁に相談すると対価を求められるし……タダで相談にのってくれるのなんて会長ぐらいしかいないんだよ。夕日が目に染みるぜ、コンチクショー。
ちなみに現在ボクがいるのは下校時間も間近な教室――生徒会の仕事が終わるのを待っていたらこんな時間になりました。誰もいない教室に男二人って嫌なシチュエーションで、いろんな意味でもの哀しいです。
――……しっかし、生徒会ってこんな時間まで仕事してるんだな~。
忙しいのに相談にのってくれる会長に感謝を――ありがとう、マイ・ベスト・フレンド!
「太陽。言っちゃ悪いが、この街にはそんなビッグでグレートなデパートはないぞ」
「……そうだったね」
マンガとかでやってる試食コーナー巡りなんていうのは、大きなデパートがある街の特権。
この街にはそこまで大きなデパートはない……って言うか、ぶっちゃけ普通のスーパーレベルです。試食がたくさんできるのは新装開店した時とかだけなのさ。
「いいか、太陽――昔の人は言いました。パンが無いならケーキを食べればいい、と」
「……してその心は?」
「お金がないなら働いて稼げばいい」
「いきなり直球できたよ!」
だが、それは確かに正論である。
むしろ働く以外の手段でお金を手にいれようとかダメですよね。
「それにお前なら働き口にも心当たりあるだろ?」
「……会長が何を言いたいのか解ったよ。でも、あんまりオススメできないというか、オススメしたくないというか、全力で拒否りたいというか……ぶっちゃけ他にないかな?」
「まあ、結局選ぶのはあの娘なんだから、あんまり深く考えなくてもいいんじゃないか?」
「……お腹をすかした猛獣に子ウサギを紹介しろと?」
「訂正、もっといい手段がないかじっくり考えよう」
しかし、下校のアナウンスが流れる時間になっても良い案は浮かばず……とりあえず選択は全て白さんに委ねることにしました。
……人はそれを丸投げしたと言う。