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蛇足その七、『ガブさんを見習え』

「申し開きはありますか?」

「気がついたらこうなってました」

 そこには玄関で土下座するボクと、立ってお説教している白さんの姿がありました。

 傍から見ればお出迎えしてるように見えるけど、実際は逆なんですよ。お見送りしてるんですよ……間違って自宅に連れ込んじゃったから……。

「意識のない女の子を無意識・無自覚に連れ込もうとするなんて……どうやら私は草壁くんを誤解していたようね」

「連れ込むって言ってもボクん家だよ? 母上も姉さんもいるんだから間違いなんて起こるわけ……」

「言い訳は見苦しいわ! 正直に私にムラムラして連れ込んだと白状しなさい!」

「はい。白さんにムラムラして連れ込みましたッ!」

 トラウマ強制力発動。

 しかし、その直後――


「嘘つかないで!」


 言わせた御本人様に否定されました。

 ――……いったいどうしろというのですか、アナタは!?

 乙女心が複雑すぎる……解読不能で空耳な歌詞で読み解きそうだよ、コンチクショー!

「く、否定しようとしても事実私はここにいる……男女間の友情はありえないって古来から言われてるけれど、どっからどうみても草食系な草壁くんがまさか肉食な狼だったなんて……」

「肉は大好きです」

「この状況でそのセリフが言えるアナタの精神が解読不能すぎて怖いわ」

 うん。自分でも『何言ってんだ!?』って思いましたよ。ゴメンナサイ。

 ……っていうか、今の会話の流れだと『肉=白さん』って事にならないかな? ボク、ノリで告白しちゃってねえですか? マズイ。まだ早すぎるよ! ガッツが足りない!!

「……あなたはガブさんのような紳士を見習うべきよ」

 そう言い残して白さんは逃げるように帰って行きました。

 残されたボクは――黒装束に着替え、屋根を疾走り、彼女に気付かれないように、ちゃんと帰宅するまで見守りました。夜に女の子の一人歩きは危険ですからね。……ボクって紳士?

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