蛇足その六、『メディア様の御力でビックリ』
行く場所を決めた、と言っても最終決定権はボクにはない。
そう、一緒に行く以上、ボクと白さんの二人が納得しなければダメなのです。
――……さて、どうやって切り出そうかな?
もうすぐ午後の授業が始まるこの状況……前回の失敗を繰り返さないように言葉を選ばなくてはいけない。あんなピンチな気持ちは二度と味わいたくないよ!
――……よし。とりあえず白さん約束を覚えてるか確認しよう。
「白さん……あの『契約』覚えてますか?」
「ええ、ちゃんと覚えてるわよ。私がメイド服を着るのを拒んだ場合、私の恥ずかしい写真をネットにバラまくってアレでしょう?」
「違ぁぁ――う!」
それを言ったのは母上です。ボクじゃありません!
――ああ、くそうッ! クラスのみんながヒソヒソ噂話してるよ! ゲスを見る目でボクを見てやがるよ! 違う。違うんだ! ボクは無実なんだぁぁ――――――――――――っ!!
と、心の中で叫んでも顔には出しません。
武士は食わねど高楊枝なのです……忍者の家系だけど。
「冗談よ――ついにケーキバイキングに行く気になったってワケね」
「…………はい」
――……酷いよ、白さん。全部知っててボクをからかったんだね、コンチクショー!
と、内心思いつつも口には出しません。
だって白さんが『冗談』って言ってくれたおかげで周囲の視線が和らいだからね……今のボクの瞳には彼女が救いの女神に見えちゃってるよ、コンチクショー。
「それでですね、今度の戦場は……」
「そうね、この間テレビでやってた第二新東京市のお店なんてどうかしら?」
メディア様の御力を実感しました。なんだかんだ言っても、やっぱりテレビの広報効果って凄いんですよね。旅番組見てると旅行行きたくなるし……。
「……うちの喫茶店もテレビで宣伝とかすれば有名になるんかな?」
「つまりアナタは私の恥ずかしい姿を全国に晒したいと言うのね……この変態!」
「誤解だぁぁ――――――――――――――――――――――――――――――――っ!」
……その後、この誤解を解くためにボクはクラスメート達の前で彼女に土下寝しました。
白さんはすごく良い顔でボクを許してくれましたよ、コンチクショー!




