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蛇足その五、『私は敗者になりたいと思えたらエレガント』

 戦いが終わり、ボク達は故郷への道を歩む。

 とかエレガントに言えたらカッコいいのだけど、ボク達は移動手段も人任せな半人前。携帯で義兄さんに連絡入れたら「まだ時間掛かりそう」との事だったので、お店の駐車場で時間を潰させて頂くことにしました。

 正直、動くのはまだヤバイ感じなので大人しく座って待つボクと白さん。

 ホントは店内で待ちたかったけど、この店は制限時間アリなお店ゆえにそれはできなかったのです。逆に前回のイタリアンで何故ボク達は店内で待つという選択をとらなかったのかちょっと失敗した気分。……気づかなければする必要のない後悔ってやつだね、コンチクショー。

 ――……あ、そうだ……。

「……白さん」

「何かしら」

「胃薬いる?」

 こんなこともあろうかと胃薬は常備していたりします。

 会長達には「お前はオッサンか!」って言われるけど、万が一を考えるとね……戦士たるもの万が一を考えて行動せねばならんのですよ。

「ありがとう。でも、自分の持ってるから大丈夫よ」

 そう言って、懐から胃薬(水不要タイプ)を取り出して飲む戦友。

 同じ考えを持つ同志がいる。こんなに嬉しいことはない。

 そして、そんな彼女だからこそ『次回は楽しませたい』と思ってしまう。

 ――……ああ、そっか。敗けて育まれるものもあるんだ。

 なんか昔好きだったアニメの中で『戦いにおける勝者は歴史の中で衰退という終止符を打たねばならず、若き息吹は敗者の中から培われる』と言っていたエレガントな閣下の御言葉を思い出しちゃいましたよ。大事なのはより良い未来を掴みたいと思う気持ちなんだね。

 ――……閣下、『私は歯医者になりたい』とかバカにしてゴメンナサイ。

 心の中で謝りながら、ボクも自分の胃薬を飲む。

 まあ、効果が出るまで時間はかかるけど、お迎えが来るまで時間はある――お迎えがくるまで二人でのんびりマンウォッチングでもしてればいいかな~、と駐車場で胃薬を飲むボク達を変な目で見ていたお客さん達から全力で目を逸らしつつマンウォッチング開始。


 ……その結果、この街が本格的にブラジル人に占領されてる気がして恐怖感を覚えました。

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