表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/35

初ステフリ

 運がいいんだか悪いんだかわからないが見事にボス部屋とおぼしきところに着いた。

 入っても今のレベルとステータスじゃ瞬殺されるかもしれないが折角ここまで来れたのに入らない理由はない。 



 そうなると問題になるのはやはり俺とゴーレムのステータスの低さだ。仮にもボスに挑むのにこのステータスは貧弱すぎる。



「というわけで初ステフリでもしますか」



セス:サモナー

LV:10


STR 13

VIT 15

INT 17

DEX 10

AGI 10


残りステータスポイント:27



ゴーレム


STR 18

VIT 20

INT  2

DEX  5

AGI  5


装備:ブロンズツーハンドソード


 これが俺たちのステータスだ。

 今回のボス戦、はっきり言って俺は勝とうなんて思っていない。

 ただ、攻略組はここの攻略を後回しにしているようなので少しでも長くボスと戦い、その情報を売りつけてやれればいいなー程度に考えている。



 なにせ俺は初期装備のまんまで、ゴーレムも買った両手剣を装備して強化しているとはいえまだまだ攻撃力、防御力不足はいなめない。

 こんな状態で勝ってこいとうのがムチャだろう。



 まあ、そんなわけで今回は少しでも長くボスと戦えるようにVITを中心に上げていこうと思う。



「まずはゴーレムからだな。こいつが頼みの綱なんだからしっかり強化しないと。それともいっそここで全部のポイント使っちまうか?」



 俺のステータスも上げたいし、さりとてゴーレムのステータスも上げなければならない。

 そのためにはポイントなんていくらあったって足りないんだからいっそのことここで……。



「いや、だめだな。これから新しくサモンモンスター手に入れるんだし、そいつのためのポイントも残した方がいいか」



 本当なら新しいサモンモンスターにもそいつ用のステータスポイントがあることを期待したいがあるかどうかも分からないものを当てにするのは危ういだろう。



 ヘルプ見てみたけど特にそういった記述は書いてないしな。

恐らくあまり細々と書くと全ジョブの説明だけで文量が膨大な量になるから詳細は省いているんだと思う。



「よし、じゃあ10ポイントだけ残してあとは全部使うか。ゴーレムは…VITに7、STRに2振っとくか」



ゴーレム


STR 20

VIT 27

INT  2

DEX  5

AGI  5


装備品:ブロンズツーハンドソード



 こんな感じになった。

投げ技のためにDEXも少しは上げようかとも思ったがやめておく。



 DEXの値を見てくれれば分かると思うが実はゴーレムがときどき使う投げ技の命中率はあまり高くない。

 ただ、相手が集団で向かっている場合に投げるのは正直DEXの値が高くなくても命中する。

なにせ的が一つではないし密集してくれているのだから最初に狙った目標には外れても他に当たるからだ。



 しかし相手が一匹だったりすると途端に命中率が下がる。

前に、俺の方に向かってくる敵に対してゴーレムが他のモンスターを投げて俺の方に来るのを防いでくれると言ったがあれは投げるのが一匹ではなく複数だったため数うちゃ当たるの精神で当てていたのだ。



 今回の場合はボス戦で、つまりは大型の一匹を相手にすればいいのでそれは後回しという結果になってしまったが今度ゴーレムのステフリをする機会があったらそっちを上げよう。



「あ、そういや俺って全部のポイントをサモンモンスターに費やそうとしてたんだっけ………ま、いっか。さすがにいつまでたっても初期ポイントのままじゃいけないと思うし」 



 俺のステフリはVITとINTをせめてキリのいい数字になるまで上げようというのが目的だ。

別段多くのポイントを使おうって話じゃないしいいだろ。

 なんか数値が中途半端だと気になるんだよな。 



「そんでもって俺のステータスは、っと。うん、こんなもんだな」



セス:サモナー

LV:10


STR 13

VIT 20

INT 20

DEX 10

AGI 10


残りステータスポイント:10



 VITに5、INTに3振った。

INTだけ上げようと思ったが最初に言ったように今回は長い時間戦うことだ。

 ボスの情報を売れるなんて機会もう二度とないと思うしHPも防御力もあってこまるもんじゃないからいいだろう。



「おっと、もうこんな時間か。灯にうるさく言った手前、現実の生活のこと投げやりにしたらいけないよな」



 時間はもう夜の10時を過ぎていてそろそろ風呂に入ってもいい時間だ。

灯は下手したら「一日くらい入らなくても大丈夫!」とか言って入らないかもしれないけど俺はまだそこまでゲームに生活を捧げる気はないから入りたい。



「風呂入った後にボス戦ってのもなんだかな。続きは明日にするか」



 こうして明日に備えて今日はログアウトし、俺のAGOの初日は終わった。





 次の日の朝、俺と灯は朝食のトーストを食べながらAGOについての話をしていた。

灯は昨日言ったことを守ってくれているようでちゃんと朝食には降りてきた。



 だがこの妹はこれからやっと寝るのだという。

なんでも昨日は西の沼地のボス討伐に参加していたとかで完徹だったそうな。

 


 ということは昨夜こいつは夕食が終わってから風呂に入ることもなくずっとゲームをしっぱなしだったという。

 廃人ここに極まれりだ。トイレはどうしたんだと聞いたらそれはさすがに途中で行ってきたとのこと。



 じゃあ風呂にも入れよと言ったら「別に一日くらい入らなくても人間死にはしないよ!それにお風呂に入ると長くなるし!」と俺の予想以上の返事が返ってきた。

 お前女の子だろうが………。



 まあそのことに関してもさっき O・HA・NA・SHI☆ したから今日からは大丈夫だと思うが。



「ところで灯、昨夜は結局どこまで攻略が進んだんだ?」


「私が参加したのは西のボスのゴーストファラオを他の皆と一緒に倒したところまでかな?その後はどうなったか分からないけどまだそこまで進んでないと思うよ」



 よかった。まだシュラーの森の攻略はまだされてないらしい。今からでも十分間に合いそうだ。



「けどさ、ちょっとだけボスの動き、ていうか仕様が変わってて皆してびっくりしちゃった」


「どういうことだ?」



 あれ、それってチャンスなんじゃないか?俺の情報の需要が高まっていい金になりそうだ。



「うん、ボスのHPが半分を切ったあたりからね、急にボスの攻撃パターンが変わって防御力が上がったの。βのときはそんなことなかったのに」


「ま、βとまったく同じじゃ初心者が不利だからな。そういう変更もあるだろ」


「そういうことなんだよね。それよりお兄ちゃんはあれからどうしたの?レベル10にはなったんでしょ?」


「俺は……」



 ここでちょっと悩む。今の俺の境遇は偶然が重なったほとんど奇跡と言ってもいい確率でなりたっている。

 このことを灯に話してしまうと灯はボスの情報だと期待するだろう。でももし俺がろくな情報も持ってこれずに来たらがっかりさせてしまうことになる。



 今回のこれは負けてもともと、少しでも情報が取れれば万々歳なものだ。むろんむざむざと負けるつもりはないし全力を尽くして長く戦うつもりだ。

 だから昨日大事にとっておいたステータスポイントの多くを使ったのだ。



 ただ、それでボス相手に一人で奮戦できるとは限らない。灯の話を聞く限りだとボスの相手はパーティーを組んでやっとというものだ。

 


 灯には悪いが戦って満足のいく結果が出せたら情報でもなんでもやることにしよう。とりあえずここはごまかしておくか。



「お兄ちゃん?」


「あ…ああ。あの後はただレベル上げしてたな。結局は11にまで辿りつけなかったけど」


「ふーん。ゴーレムは?どうにかなりそう?」


「ああ、あいつにはかなり助けられてるからな。装備もくれてやったんだぜ」


「おー!装備品もようやく見れたものになってきたからね。ボスに挑む前に確認したらやっとNPCの店の武器より性能はよくなってきてたかな?」


「まじかー。俺昨夜の内に買ったからたぶんNPCの店のと同レベルのやつだわ」


「仕方ないよ。そういえば何装備させてるの?」


「両手剣だ。しかもあいつ、両手剣を片手で持てるんだぜ?」


「え!?そうなんだ!普通は両手剣装備すると両手が塞がっちゃうから戦闘中に自分でアイテムとか使えないし両手の装備欄が二つ一気に埋まっちゃうのに」


「へー、これがサモナーの少ない利点ってやつかな」


「だと思うよ。かなり他のジョブに比べて制限厳しいもん」


「まあ、そういうわけで今日もレベル上げに勤しむことにするわ」


「そっか、頑張ってね。私はたぶん今日は東の攻略に参加するから」


「わかった、上手くやれよ」


「うん。あ、時間が空いたらレベル上げの手伝いするよ。お兄ちゃんってどこで狩りしてるの?」


「あーっと、……北の森だな。サモナーだから隅の方でソロでレベル上げしてた。でも大丈夫だ。お前も仲間たちと約束あるんだろ?」


「それはそうだけど……」


「だったら俺のことは気にしないで行ってこいって。それにレベル上げのいい方法を見つけたんだ。一人でも十分やれるよ」


「そう…なら手伝ってほしい時はメッセージ送ってね?」


「おう、行き詰ったら頼むわ」


「うん。…ねえ、レベル上げのいい方法ってなんなの?」



 おお、さすが廃人に片足つっこんだ妹だ。効率のいいレベル上げの方法があると聞いて飛びついてきやがった。

 なんだろう、目が肉食獣のようだ。レベル上げの方法(えもの)を狙っている。



「そんな飢えた目をするなよ。第一魔法職向きの上げ方だからお前じゃムリだ。そうだな、俺のスキルでできることだからそこから考えてみろよ」


「お兄ちゃんのあのスキル構成でできることなんて想像もできないよ」


「さらっとヒドイこというな、悲しくなるだろ。まあこんなところだ、ごちそうさま」


「あ、私も。ごちそうさま」


「ちゃんと風呂入って寝ろよ」


「分かってるよー」



 ふう、なんとか切り抜けられた。でも今の攻略組のペースだとそろそろシュラーの森に攻略に来てもおかしくないな。

 早目にログインして戦っておこう。



 早目にログインするためにいつもよりも速いペースで家のことを終わらせ、コクーンをかぶってベットに横たわる。

 さあ、待ってろよ、南のボス!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ