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初顔合わせ

皆様お久しぶりです。ぼっちです。


これからの予定としましては、

金曜日:32話

土曜日:33話

日曜日:33話プロトタイプ


を更新していきたいと思います。


今回は新しく出てきた三人の設定を少しでも決めるのに苦労しまして……。実をいうとプロトタイプの方を最初に書き上げたのですが「さすがにこれはないだろう」と思いまして、急遽書き直した次第です。

どうせならと思い、今回投稿することを決意しました。本編とは関係ないのでどうでもいいという方はスルーしてください。

 灯にメッセージを送ってからログアウトした。内容は「ゲーム内で約束があるから昼飯を先に食べておく。お前の分は残しておくから好きな時に食え」という内容だ。



 若干投げやりな指示かな?と思ったが、灯からはむしろ喜ばれた。好きな時間に昼飯が食べられるということもそうだが、俺が他のプレイヤーと約束をしているということが嬉しいらしい。

 ホント、気苦労かけます……。



『お、セスか。待ってたぜ』



 ログインするのとほぼ同時にジャックからコールがかかってきた。時間は11時45分だ。まだちょっと時間があったが、どうやらあっちの方はその前からログインしていたらしい。



「おう、早いな。もうログインしてたのか」


『ていうか、お前のことを待ってたんだぜ。だってお前、集合場所どこにするか決めないうちに落ちちまうじゃねえか』



 そういやそうだった。昨日はちょっと夜に長めにやりすぎたと思ったから焦ってたんだよな。



「悪いな。昨日いつもより夜遅かったから焦ってたんだわ。で、どこに集合するのかは決めてあるのか?」


『始まりの街のポータル前ってことになってるぜ。他の連中はもう来てる。後はお前だけだ』


「まじかよ!あちゃ~主催者なのに遅れちまったぜ」


『なんだかんだ言って皆嬉しいんだよ。今までジョブや、事情があってパーティー組めずにいた連中ばっかりだからな。降って湧いたチャンスに飛びついたってわけよ』



 やっぱりこういう集まりみたいなのを開いて正解だったかもな。そんなふうに思ってくれてたんなら幸いだ。



「わかった。今南の森にいるから、今からそっちに向かう」


『おお、あの南の森にソロで行けるとはさすがだな』


「レベル差があるだけだ。じゃあ切るぞ」



 コールを打ち切ってウルフを召喚し、さっさと始まりの街に向かう。ちゃんと調合書を使って、作れる薬の種類を増やしておくのも忘れない。もちろん畑からの採集もだ。



 始まりの街に到着し、ポータルに向かう。今更だが最初のころより人が減っているように感じる。まあ、新しい街が解放されたしその他のフィールドに行っている人もいるからな。



「おう、セス!こっちだこっち!」


「あまり大声で呼ぶなよ、恥ずかしいだろうが!」



 相変わらずの海賊面なのはジャックだ。その周りには三人のプレイヤーがいる。内二人は男性プレイヤーで、一人が女性プレイヤーだった。



「始めまして、セスだ。今日は俺とジャックの提案に乗ってくれてありがとう。礼を言う。それと遅れてすまん」



 俺が挨拶をすると、まずはどこかホストというか、遊び人な感じのする黒っぽい服を着た男が反応してくれた。武器は見たところ腰に差した杖だから魔法職なのだろう。

 顔は周りのプレイヤーの例にもれずイケメンだが、顔に違和感が結構あることから「作りこんだグループ」なのだろう。

 髪は緑色で肩にかかるくらいまでは伸ばしており、身長は大体俺と同じくらいだ。



「気にしないで欲しいっす!こっちこそ誘ってくれてどうも!俺っちはベオウルフっす!よろしく!」



 元気なやつだな。なんだかやたらテンションが高いのは元からなのだろうか?それとも今日誘ってもらったからなのだろうか?

 まあ、悪いやつじゃなさそうだからいいんだが。



「ああ、確かにそうだね。むしろ僕たちの方こそ誘ってもらって感謝しないとね」



 次いで返事を返してくれたのは筋肉隆々としたアバターで、頭には野球帽のようなデザインの帽子を被り、上半身はゲオルクと同じように装備を排したタンクトップ姿のもう一人の男性プレイヤーだった。

 そして背中には大きめの斧を背負っている。顔はどこか知性的な感じがするから少し違和感があると言えばある。

 あまり顔に違和感が感じないことからもとからこの顔なのだろう。

 ……なんだろう、どことなく危ない感じがする。いや、危ないやつだ、みたいな感じじゃなくてこう……版権?が絡んできそうな類の……なんとなく時報とか言われそうだな。

 こっちもいいやつそうだ。



『あの、大丈夫ですよ。こちらこそ誘ってもらってありがとうございます』



 で、このメンツの花ともいえる女性プレイヤーだが、この娘もまた異様な姿だった。銀髪で肩甲骨まで伸ばした髪で、違和感が少ないことからもとから美人だということは分かる。

 アサシンのような全身真っ黒の服装を装備しているのはいい。そしてその装備が妙に体にフィットした感じで、身体のラインが見えそうになっているのもいい。むしろうれしい。

 右手にデフォルメされたカエルの人形をはめ、左手には同じくデフォルメされた牛の人形をはめていた。

 これもまあ、いいだろう。だが、自分の口で喋らず右手のカエルでしゃべっているのはなぜだ?



「そうそう、気にしない方がいいぜ。勝手に早く来たのは俺たちなんだからな。それに、全員とフレンドな俺が保証してやるが、こいつら別に悪いやつらじゃねえよ」



 そう、ジャックが補足してくれた。そういや、見た目で言えばこいつも海賊ルックという点では異様か。……俺の見た目は大丈夫だよな?ボーナス装備だからそう変な格好ではないと思うが……。



「そうか、助かる。じゃあいつまでもここにいるってわけにもいかないからどこかに行こうぜ。どこか希望はあるか?」



 ポータルの前で五人で立ち話とかはちょっと勘弁したい。かと言ってフィールドだと落ち着いて話せないしな。



「俺は特にないっすね」


「ボクも希望はないかな。皆の意見に従うよ」


「俺もどこでもいいぜ」


『わ、私も皆さんに従います。どこでもいいです』



 うん、こういうところって日本人だなって思うな。それにしてもどこでもいいって……言うのは簡単だけど、いざ決めるとなると困る返答だな、これ。



「うーん、じゃあメシ屋に行ってみるか。エレガティスにあるから皆で行ってみようぜ」



 というわけで俺たちはそろってエレガティスに向かった。エレガティスは結構な人数がひしめいていて、元からの街並みと相まってかなり狭かった。

 それでも皆いるのは、ひとえに新しい街が解放されたからだろう。



 とりあえず俺は皆を案内してメシ屋に向かう。やっぱり落ち着いて話ができそうなところはあそこだからな。

 人ごみが多くてときどきはぐれそうになったがなんとか到着した。やっぱり以前より人が増えてるよな……疲れた。



「あちゃー、やっぱこうなってるのか」



 やっとのことでメシ屋に着き、中に入ってみたはいいものの、人であふれかえっていた。まあ、街開きしたばっかだからそうなるよな……。



「ふむ、これは仕方ないね。どこか別の場所を探そうか」


「ま、しゃあねえわな。いざとなったら道端でいいだろ」


「まあ俺はもとからどこでもいいっすけどね」


『しょうがないですよね……』



 ああ、皆してあきらめムードだし……まあ、皆の言う通りしゃあないわな。他にどっか良さ気な場所はあったか?



「いらっしゃいませ。セス様ですね?」



 俺たちが次の場所を探そうと出ようとすると、ウエイトレスさんに呼び止められた。しかも、俺が初めてここに来た時に応対してくれたウエイトレスさんだ。



「セス様の専用席がありますので、そちらにご案内いたします」



 あれ?俺の専用席?予約すらした覚えがないんだが……?



「なあ、俺の専用席ってどういうことだ?」


「セス様は当店に一番最初にお越しいただいたお客様ですので、特典としてセス様の専用席を常に確保してあります」



 ああ、そういえば俺ってここに来た一番最初の客だったな。特にそういったことを聞かされてないから分からなかった。



「それではご案内いたします。お連れ様の分の御席もありますので、どうぞこちらへ」



 そういって俺たちを案内してくれるウエイトレスさん。ありがとう!お礼に高い物注文するよ!



「なあ、どういうことだよこれ?」



 ジャックがそう言い、他の連中も俺に注目している。普通はそうなるよな。とりあえず詳しい話は席に着いてからってことにするか。



「簡単に言えば、俺が最初にこの街に来て、最初にこの店に入ったからだな」



 それだけ言って俺はウエイトレスさんの後ろについて行く。後ろから「「「「えええ!」」」」という驚きの声が聞こえた気がしたが、今は無視だ。





「どうぞ、こちらになります」



 ウエイトレスさんに連れてこられた席ははっきり言って特等席だった。二階に上がる階段の横に「VIP ROOM」という装飾が豪華なドアがあり、そこを開けて階段を上ると広い空間が広がっていた。



 スペースは学校の教室位の大きさだが、それでも人一人のために用意されたにしては十分な広さだと思う。

 ところどころに観葉植物が置かれており、中央にはこれまた大きなテーブルが置いてある。しかも座る場所はイスではなく、ドラマに出てくるキャバクラにあるような形をしたL字型のソファーだ。テーブルの四辺を囲うように二組置かれている。高そうで座りたくないと思ってしまうのは俺が貧乏性だからだろうか……。

 壁にはこれまた高そうな絵がかけられていて、調度品として棚もありその棚にもいくつものボトルやグラスが置いてあった。



 さらに目を引くのは入った時に正面に見えるエレガティスの街並みだ。通りに面した壁が全面ガラス張りになっていて、街並みやその周りに広がっているフィールドが一望できる。日差しもよく入ってきて気持ちがいい。



「ここがビップルームでございます。テーブルにある呼び鈴を鳴らしていただければいつでも参りますので、ごゆっくりどうぞ」



 唖然としている俺たちをよそに、ウエトレスさんはクールに一礼してから下に降りていく。いや、正直ここまでとは俺も驚いた。専用席って言っても隅の方にある一人用の席だと思ってた。

 見てみれば他の皆も驚きで目を見開き、部屋を一通り見まわして、次に俺を見る。その眼には信じられないようなものを見るような心情が込められていたのを俺は見逃さない。



「ま、まあとりあえず座って……自己紹介から始めるか」



 下手な合コンの司会のようなセリフを皆にかけながら、俺たちはぎこちなくソファーに座った。さてさて、どんな集会になることやら。


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