七の迷い
更新停滞申し訳ございません。こちらの都合で長時間携帯の使用ができなくなっておりました
〜警察署会議室〜
「署長!」
会議室の扉が乱暴に開き、息も絶え絶えに報告した。
「銃器対策部隊の乗ったヘリが撃墜されました!」
「馬鹿な!」
―ガターン
勢い良く立ち上がったせいでパイプ椅子が倒れ激しい音が鳴った。
「相手は高校生だぞ!墜落ではないのか!?」
「いえ、現場に居た全員がヘリに向かって飛ぶ物体を確認しています。」
「馬鹿な・・・・」
―ボフ
間抜けな音をパイプイスがたて、署長は呆然とした表情になり膝関節が消失したかのごとく崩れ落ちた。
「まさか、そんな・・・・」
「まだ報告があります。」
「なんだ。」
「ヘリが撃墜されたのとほぼ同時刻に山岸交渉官が銃撃された模様です。こちらからの無線に応答しませんのでおそらく・・・・じ
「なぜだ!」」
組んだ両手に顔を埋めたまま署長が叫ぶ。
「ようやくここまで来て訳のわからんガキどもに邪魔されてなるものか!おい君!」
「はっ。」
「なぜ機動隊は突入せんのだ!さっさと制圧してしまえばよかろうに!」
「し、しかし校内には行方不明者が多数いますので人質を盾にされると思われます。」
激昂した態度にしどろもどろになる男。
「打つ手無しか・・・・。」
「署長。」
今まで沈黙を貫いていた副署長が手を挙げる。
「我々には打つ手はもうありません。」
「ああそうだ、だからなんだ!要求を呑めとでも言う気か!」
掴みかからんが勢いで顔を近付ける。
「我々にはにはありませんが、まだ打つ手はあります。」
観念したかのように長いため息をしてから慎重に言葉を絞りだす
「私・・・・達の収められる範囲を越えました。彼らのさん、指示を仰ぎましょう。」
「何を・・・・。」
彼ら?警察でさえ抑えられず、特殊部隊に属する
「銃器対策部隊」でさえダメだった。それを越える部隊など存在しない。
いや―――
「あいつらにまかせろと?」
「もう暴動の範囲を越えました。彼らはテロリストです。・・・・SATの出動を要請しましょう。」
対テロ特殊部隊。Special.Arm.Team通称―SAT―
存在自体は公表されているが謎の多い集団で、合同訓練等で銃器対策部隊が比較的良く様子を公開するのに対して、今まで一切の訓練模様を公表したことが無い。
テレビのニュース用に加工された画質の粗い映像が公開されるレベルだ。
曰く、日本におけるありとあらゆる記録が抹消される。
曰く、次男は入隊できない。
等々。また、SAT隊員は通常、フェイスマスクで顔を覆っている。これは犯人を『排除』した場合に隊員が人権団体から訴訟されるを防ぐためだと言われている。
「私達の判断できる事案ではありません。」「ふざけるなよ!ここの管轄は私なんだから私が指揮を取るのが筋だろうが!」
唾をタップリと吐き出し怒鳴り散らす。あたかもコドモがむずかるように
「くだらん縄張り意識は捨てろ!」
―だんっ!
まだ年若い副署長が拳を長机に叩きつける。紙コップが倒れて安コーヒーの苦い香りがあたり一面に広がった。
「・・・・・・。」
重い空気が改めて場を支配する。肩を震わせていた署長は観念したかのように顔を上げた。
「やはり現場叩き上げは違うな。やる気に満ちてると来た。」
乾いた笑いと皮肉。
「では、我々は本庁の指揮下に入ります。君、頼んだよ。」
「はっ。」
副署長の指示にて管轄は指揮権は本庁に委託。以後は第零機動中隊『SAT』が現場にて活動する。
『第零機動中隊』SATの和名。機動隊の扱いではないが、こうよばれている。 地元警察は警視庁をライバル視しているのか仲が悪いらしく、確執を多々生み出すこともあるようです