最終話 ここにいるよ
私は、特別なことはしていない。
立派な夢もないし、誰かに誇れるような生き方もしてこなかった。
それでも私は、静かに、黙って、自分の居場所を手探りで見つけようとしてきた。
何度も道に迷った。
何度も心が折れかけた。
でもそのたびに、小さな光みたいなものを、自分の中に探してきた。
きっとそれは、誰に見せるためでもなく、自分のためだけの灯りだったんだと思う。
これまで、私はたくさんの“無言”の中で生きてきた。
誰とも話さずに終わる日、何も感じないふりをして乗り切った夜。
笑えなくても、泣けなくても、ただ毎日をやり過ごしてきた。
うまくできなかったことも、たくさんある。
頑張れなかった日も、たくさんあった。
でも、それでも私は、ここまで来た。
自分の歩幅で、何とか今日まで生きてきた。
もしこの言葉が、どこかの誰かに届くなら。
それは、私がこの世界にちゃんと“存在していた証”になる気がする。
私の言葉は、ただのつぶやきかもしれない。
誰の心にも届かないまま、
インターネットの海に沈んでいくのかもしれない。
でもそれでも、書いてよかったと思う。
だって私は、伝えたかったんだ。
声にならないまま抱えてきた感情も、
誰にも渡せなかった祈りも、ここにちゃんと置いていけた気がするから。
あなたの今日が、少しでもやわらかくありますように。
明日が来るのが少しでも怖くなくなりますように。
願わくば、この言葉があなたのどこかにそっと残りますように。
そしていつか、あなた自身が、誰かの“ぽんず”になれますように。
祈川ぽんず、ここにいるよ。
そして、あなたはそこにいる。
あなたのことは知らない。
たぶんこの先、出会うこともない。
だけど、あなたが“そこにいる”ことは、ちゃんと知っているよ。
宇宙は、私たちをじっと見ている。
同じ星の上にいるってことは、同じ場所にいるってこと。
遠くても、見えなくても、ね。
あなたが眠れない夜も、
孤独で泣きたくなる日も、
悩みに押し潰されそうなときも、
環境に耐えられなくて挫けそうなときも――
私は、同じ場所にいる。
この長い人類の歴史の中で、たまたま同じ時間に生きている奇跡。
それだけで、もう十分じゃないかな。
出会わなくてもいい。
触れられなくてもいい。
認識しあえなくても、いい。
それでも、共に生きていこう。
この星の上で。
この空の下で。
今このときを、共に生きているすべての人たちへ。
支えてくれて、ありがとう。